eコラム「北斗七星」

  • 2015.10.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月15日(木)付



愛用のホチキスは購入してから20年になろうか。カッターは30年、シャープペンシルも15年ほど使っている。物持ちはいいのだが、その間、文具は進化。売れ行き好調の製品もあると聞く◆例えば、シャープペンシル。大手筆記具メーカーが開発した0.2ミリ芯の極細は発売からわずか3カ月で年間販売目標を突破。別のメーカーの0.5ミリ芯の製品は5カ月で200万本に。年間100万本売れればヒットとされる中で、である◆価格は高く、見た目も変わらないのに、なぜ売れるのか。芯折れが勉強の集中力を削ぐとの学生の声を聞き、強い筆圧でも折れにくくしたからだ(読売)。片やホチキスでは、従来の1.6倍の紙量をとじられる日本製品が大ヒット。紙を圧着する針のないホチキスも売れている◆初めてホチキスを開発したのは米国のベンジャミン・バークリー・ホチキスだ。19世紀に、機関銃を発明した人である。物騒な人物だが、「少しは赦せる」(串田孫一著『文房具56話』ちくま文庫)のは、後世の人々の利便性向上に資したからだろう◆小売企業の好決算が相次いでいる。訪日外国人の大量消費に加え、文具では作業上の快適さを追求する人の増加が消費を後押しした。小さな声をどう捉え、改善につなげるのか。「地べた目線」(倉本聰著『私の履歴書』日経)が求められている。(田)

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