e貧困の連鎖断とう ひとり親家庭支援

  • 2015.10.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月6日(火)付



「ワンストップ相談窓口」への取り組み
東京・豊島区



女性の活躍支援や子どもの幸福のための福祉政策の一環として、ひとり親家庭への支援策の充実が求められています。ワンストップ相談窓口など対策の充実を図る東京都豊島区の取り組みを紹介します。


福祉行政部門が1フロアに


地域"資源"も活用


日本の子どもの貧困率(平均的な所得の半分以下の所得で暮らす18歳未満の子どもの割合)は、1985年に10.9%だったものが、27年後の2012年には16.3%と高くなっています。


ひとり親家庭(全国で約146万世帯と推計)では54.6%。この数値は、親が働いているいないにかかわらずそれほど変わりません。これは、日本のひとり親家庭の場合、パートやアルバイトなど非正規労働にしか就けない場合が多いことを物語っています。一方で貧困による経済格差は、子どもの教育格差につながり、就職時にも正社員などになれず低収入なままで、親の貧困が子どもに継承される「貧困の連鎖」が社会問題となっています。


公明党の努力による対策の法制化もあり、国は、ひとり親家庭などの自立を応援する政策の方向性を提示。年末までに政策パッケージを策定し、ひとり親家庭を対象にした自治体の相談窓口のワンストップ化をはじめ、子どもの学習支援、親の就業やスキルアップ(職業能力向上)支援などを盛り込むとしています。


東京都豊島区は、今年5月の新庁舎での業務開始を機に、区民の利便性向上のため、福祉関係の多くの部署を庁舎4階に集約し、相談窓口のワンストップ化を進めています。


その4階の子育て支援課に、ひとり親家庭専門の相談窓口があります。専門の自立支援員や相談員が対応し、生活や就職、子育て、教育費など相談内容は多岐にわたります。生活保護や児童虐待など、対応窓口が別の場所にある場合でも、関係部署と連携を取り、利用者にたらい回し感を持たれないようにしています。妊娠中から産前産後の切れ目ない支援を目的とする子育てインフォメーションコーナーは土日も窓口を開いていて、必要があれば自立支援員につなげています。


こうしたきめ細かな対応により、今年度は4~8月の5カ月の相談件数が2713件と、前年同期間より600件以上増加。区役所が池袋という有数のターミナル地にあることもあり、地方から長距離バスで来たDV被害の母子などが、そのまま窓口に相談にくるケースもあるといいます。「深刻な問題を抱えている人が多く、区民ではなくても対応しています」(区子育て支援課長の猪飼敏夫さん)。


豊島区がこうしたひとり親支援をはじめ子育て支援に手厚く取り組んでいる背景の一つに昨年、日本創成会議が発表した全国896の消滅可能性都市に東京23区で唯一、豊島区がリストアップされたことがあります。区として対策本部を立ち上げて議論を重ね、若い世代の女性の意見を聞く「としま100人女子会」や「としまF1会議」(※F1はマーケティング用語で20~34歳の女性)などを開催、徹底して女性の声に耳を傾け、提言化し、子育て支援策などに反映させました。


困窮家庭への食事支援に取り組む区内のNPO法人や子どもの学習支援活動団体が活発に活動しているなど、地域"資源"に恵まれていることも、きめ細かな支援につながっています。


また区では今後、母子生活支援施設などの退所者が段階を踏んで自立するためのステップハウスなど中間的施設を設置したいとしています。

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