e人道先進国への一歩に

  • 2015.09.28
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年9月28日(月)付



紛争、DVなど 「新形態の迫害」追加へ
公明が要請 審査手続きも透明化
谷合正明・党プロジェクトチーム事務局長に聞く



法務省は15日、難民認定制度に関し、保護対象の拡大を柱とする運用の見直し策を示しました。公明党難民政策プロジェクトチーム(PT)の谷合正明事務局長(参院議員)に、これまでの取り組みや今後の課題を聞きました。


難民認定制度の運用見直し


―日本の難民認定制度をめぐる現状は。


谷合事務局長 近年、難民申請数は急増する一方、認定数は限られています。昨年は5000人の申請に対し認定が11人にとどまるなど、"狭き門"といえます。再申請の増加も相まって、審査期間の長期化も課題になっています。


―制度の運用見直しで何が変わるか。


谷合 紛争やDV(配偶者などからの暴力)を念頭に「新しい形態の迫害」への対応が明記されました。審査の判断基準については、法律や国際問題の専門家らで構成する難民審査参与員の提言を参考にします。


党PTは今年4月、上川陽子法相に制度の改善を要望しました。その中で、中東情勢の悪化に伴うシリア難民の急増などを踏まえ、真っ先に掲げたのが「新形態の迫害」による難民の保護です。


―審査期間の長期化には、どう対応するのか。


谷合 大切なのは、真に救済の手を必要とする難民のいち早い保護です。そのため、「借金取りから逃れるため」「日本で働きたい」など、認定基準に明らかに該当しない再申請者については、簡易な審査で迅速に処理します。


ただし公明党は、党PTの遠山清彦座長(衆院議員)を中心に、こうした難民申請の乱用抑制策が過度な規制にならないよう、配慮を要請しました。その結果、運用が適正に行われているかを外部の専門家が確認する仕組みが盛り込まれました。


―公明党は審査手続きの透明化も強く訴えていたが。


谷合 NGO(非政府組織)などからは、日本の認定制度は透明性が低いとの指摘があります。見直しでは、認定・不認定事例の公表を拡充し、判断のポイントも示します。


審査に関わる人材の確保・育成や、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の協力を得た法務省職員の研修も公明党の提言を反映したものです。これらは人道先進国への一歩と評価しますが、今後は、制度がどう運用されるか厳しくチェックしていきます。


―シリアなどから欧州への難民流入が国際問題になっている。


谷合 欧州連合(EU)を中心に大きな社会問題となっていますが、隣国のヨルダンやレバノンといった中東の難民受け入れ国の状況はさらに深刻です。自国民の医療などにも支障を来しつつあり、さらなる政情不安を招きかねません。


難民への直接的な支援に加え、こうした国々への人道的な支援を日本は積極的に進めるべきです。現場主義の公明党議員として、ヨルダンのシリア難民キャンプなどを視察し、現地の状況を踏まえた日本の対応のあり方を探る予定です。



難民認定制度


人種、宗教、国籍、政治的意見などを理由に迫害を受ける恐れがある外国人を保護するため、申請を受けた法相が難民と認定すれば、日本への在住を認める。難民と認定されると、国民年金や児童扶養手当などの受給資格が得られ、日本国民と同じ待遇を受けられる。

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