e消費税の負担緩和 軽減税率は財務省案より効果的

  • 2015.09.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年9月28日(月)付



公明党は25日、2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際の負担緩和策として、財務省が示した還付案に反対すると表明した。併せて、公明党が一貫して訴えている、生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率の方が効果的だと主張した。


自民、公明の与党両党は、14年末に行われた衆院選の連立重点政策に「軽減税率については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入します」と明記し、選挙戦に勝利した。財務省案は国民の求める軽減税率とは程遠い内容であり、とうてい受け入れられない。


財務省案は、全商品に一律10%を課した上で、後から酒類を除く飲食料品を対象に消費税率2%分を還付する。買い物の記録には、政府が実施するマイナンバー(税と社会保障の共通番号)制度を活用し、希望者に配布する個人番号カードを使う。


しかし、これでは消費者が購入時に税負担の重さを感じる、いわゆる痛税感が緩和されない。ほかにも、(1)消費者が事務手続きを行う(2)マイナンバー制度が円滑に実施できるか見通せない(3)個人番号カードを持ち歩く不便さと紛失の恐れがある(4)買い物時にカードを持っていないと記録されない(5)カードの読み取り端末の費用は誰が負担するのか―など欠陥や疑問が多い。


実際、各種の世論調査を見ると、財務省案を支持する意見は少ない。国民の多くは、この仕組みに不安や不満を抱いているのは明らかだ。


軽減税率にも、難点がないわけではない。最も危惧されているのが、小規模事業者の事務負担の増加である。しかし、消費税と同じ付加価値税が長年定着している欧州諸国などでは大きな混乱は見られない。読売新聞社の調査では、「商工自営、自由業」の67%は軽減税率を導入すべきと答えており、導入の妨げにはならないのではないか。


安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表は25日の党首会談で、消費税率が10%に引き上げられる17年度の導入をめざすとした、15年度税制改正大綱に沿って与党間の議論を進めることを確認した。


与党の実務者には、国民の気持ちをしっかりと受け止めた議論を期待したい。

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