eここがポイント 平和安全法制

  • 2015.09.24
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年9月20日(日)付



隙間なく日本の安全を守り、国際社会の安全にも貢献する平和安全法制の関連法が成立した【全体像参照】。憲法9条の下で許容される武力行使の限界を「自衛の措置の新3要件」によって定めた改正自衛隊法や、国際平和のために国連決議の下で活動する外国軍隊への後方支援を定めた国際平和支援法(新法)など主な法律のポイントを解説する。



隙間なく日本の安全守る



存立危機事態



他国防衛の集団的自衛権の行使は認めず



これまでは、日本に対する武力攻撃が発生した場合に限って自衛隊による武力行使(自衛の措置)が許されていた。このような状況を武力攻撃事態という。


今回、改正自衛隊法と改正武力攻撃事態法によって、日本への武力攻撃に加え、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、それによって日本の存立が脅かされ、日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶことが明らかな場合にも自衛隊の武力行使を認めた。これを新たに存立危機事態と定めた。


存立危機事態はあくまで日本を守る自国防衛、専守防衛の範囲であり、憲法が禁じる"もっぱら他国防衛を目的とした集団的自衛権の行使"にならないよう「自衛の措置の新3要件」(別掲)によって厳しい歯止めが掛かっている。


存立危機事態が必要とされる背景には、新たなパワーの台頭や軍事技術の革新といった安全保障環境の変化がある。例えば、日本のために弾道ミサイル防衛に当たる米艦への攻撃を、自衛艦が実力で阻止できないと警戒監視に穴が開き、国の存立が脅かされる可能性がある。こうした状況が起こり得るとの認識が存立危機事態の基礎になっている。



重要影響事態



日米安保の効果的運用へ後方支援を拡充



これまでの周辺事態法が改正され、重要影響事態法との名称に変わった。


武力攻撃事態とは言えないが、日本の安全に重要な影響を与える事態が起こり、米軍などがそれに対処している場合、自衛隊は武力行使ではなく、輸送や補給といった後方支援を実施する。


支援対象は、日米安保条約に基づき活動する米軍と、国連憲章の目的達成のために活動する外国の軍隊。自衛隊の後方支援が米軍などの武力行使と一体化しないよう、現に戦闘行為が行われている現場では実施しない。


周辺事態の定義「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至る恐れのある事態など、わが国周辺の地域における、わが国の平和および安全に重要な影響を与える事態」から、「わが国周辺の地域における」が削除された。しかし、日米安保の効果的運用への寄与が目的であり、「地球の裏まで自衛隊が行く」などとの批判は当たらない。



武器等防護



これまでも自衛隊法で、武力攻撃事態でなくても、自衛隊の武器等を守るため、特に命令を受けた自衛官は武器使用を認められていた。武器を破壊されると武力攻撃事態に対処できなくなるからだ。


改正自衛隊法は、この規定を自衛隊と連携して日本防衛のために現に従事している米軍等の部隊の武器等防護にも適用した。米軍等から要請があり、防衛相が必要と認めた場合に限られる。



国際社会の安全にも貢献



国際平和支援



国連の下で活動する外国部隊へ後方支援



国際社会の平和と安全は、日本の平和と繁栄の大前提である。もし国際社会の安全が脅かされ、国連が加盟国に対処を求める決議を採択した場合、日本はどう協力すべきか。


憲法9条は海外での武力行使を禁じているため、国連決議があっても自衛隊を武力行使の目的で協力させることはできない。これまでは、2001年のテロ対策特別措置法(特措法=時限立法)、03年のイラク復興支援特措法のように、自衛隊は洋上給油など外国部隊への後方支援や、紛争後の人道復興支援などに限って貢献し、高い評価を受けてきた。


今回の国際平和支援法は、特措法で実施してきた後方支援を協力支援活動(外国軍隊への物品・役務の提供や補給、輸送、医療など)の名称で実施する。特措法ではなく一般法にしたことで、日本ができる支援内容をあらかじめ国際社会に示すことができ、また、自衛隊の訓練や準備も進めることができる。


自衛隊派遣の国会承認については、例外なき事前承認が公明党の提案で規定された。


また、協力支援活動が外国軍隊の武力行使と一体化しないよう「現に戦闘行為が行われている現場」では実施しない。



PKO



参加5原則は堅持。駆け付け警護を実施



改正国連平和維持活動(PKO)協力法は、国連が統括しないPKO類似の活動(国際連携平和安全活動と呼称)にも自衛隊が参加できるようにした。


EU(欧州連合)の要請で設立されたアチェ監視ミッション(2005年9月~06年12月)などが非国連統括型PKOの例で、任務も武装解除の監視などPKOと同様である。非国連統括型への参加も、PKO参加5原則((1)停戦合意(2)派遣同意(3)中立性確保(4)(1)~(3)の条件が崩れた場合の撤収(5)武器使用は護身に限る)の下で行われる。


また、現場で保護が必要な住民やNGO職員などを守るため、安全確保業務と駆け付け警護を認めた。


これに伴い、武器使用を自己防衛型だけでなく、任務の妨害行為を排除する任務遂行型にも拡大した。任務遂行型でも、相手に危害を与える射撃は正当防衛と緊急避難に限定され、殲滅作戦などは許されない。

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