e被災地の職員不足 OB活用含め派遣の増員必要

  • 2015.08.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月25日(火)付



東日本大震災の被災自治体の職員不足を解消するため、宮城県は25、26日の両日、全国の自治体関係者を対象にした被災地視察を初めて実施し、職員派遣への協力を求める。


視察では、復興途上のまちづくりや、応援職員が携わる業務の見学が行われる。一人でも多くの参加者に被災地の実情に理解を深めてもらい、応援職員の増員や継続につながることを望みたい。


まもなく震災から4年半を迎える被災地では、復興事業が本格化する一方、事業を担う職員の不足が深刻化している。特に、土木や保健師などの技術職は、採用を増やしても充足できていない。


岩手、宮城、福島の被災3県によれば、国が費用を負担するなどして、全国から2000人を超す応援職員が派遣されているが、それでも500人近くの職員が不足している。加えて、派遣元の自治体の中にも行政改革によって人員に余裕がないため、やむなく職員の派遣を打ち切らざるを得ないケースも出ている。


すでに職員の不足は、復興事業の進捗にさまざまな支障を及ぼしており、特に小規模自治体ほど影響は大きい。


退職者(OB)の活用も選択肢の一つだ。現役職員の派遣が難しい大分県中津市では、昨年度の退職者から希望を募り、再任用する形で今年度から宮城、福島両県内の自治体に1人ずつ派遣している。


また、職員数の少ない小規模自治体でも、近隣の自治体と協力し、毎年交代で職員を派遣している地域もある。


自治体の抱える事情はさまざまだろうが、創意工夫ができないか、検討を重ねてもらいたい。国も積極的にバックアップするべきだ。


応援職員は、被災地の復興事業という貴重な経験を積むことによって、災害対応をはじめ、さまざまな分野の行政能力を磨く機会になるだろう。各地から派遣された職員と一緒に仕事をすることで、他の自治体の行政事務を学べるので、派遣元の自治体での業務効率化に役立っている例もある。こうした利点を、派遣元の自治体に積極的に知ってもらう必要がある。


全国からの応援メンバーを増員し、被災地の復興を加速させていきたい。

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