e長崎市で「世界こども平和会議」を開催

  • 2015.08.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月9日(日)付



明るい未来へ歩み出す
参加者が核兵器廃絶を誓う



長崎はきょう、原爆の日を迎えました。被爆から70年の節目を前に長崎市は5、6日の両日、「世界こども平和会議」を開催しました。会議には128の国や地域の代表と、長崎市内の中学生らを合わせた約300人が参加。悲惨な被爆の実相を学び、明るい未来の構築へ、核兵器廃絶をめざすことなどを誓い合いました。


過去を学ぶ


実相伝える展示に衝撃


同会議初日の5日、128カ国・地域から長崎市に集った150人は、原爆落下中心地で献花を行った後、原爆資料館を訪れました。メンバーは、当時の被害状況の写真や、原爆の熱線で溶けたガラス、衣服などの展示を見学しながら、真剣に案内人の説明を聞いていました。モンゴルのナラン・アーガルさん(15)は、「原爆によって、とても多くの人が傷付いたということにショックを受けた」と述べていました。


その後、同市の長崎ブリックホールに移動し、日本の中高生と一緒にワークショップ(参加型講習会)が行われました。イギリスのジェス・マライスさん(14)は、「核兵器が世界に対して破壊力を持つことを知った。帰国したら平和の大切さを伝えていきたい」と語っていました。


終了後、参加者は平和のメッセージが記された横断幕を持って市内を歩く平和行進をしました。


6日は、被爆者で長崎市在住の山脇佳朗さん(81)が被爆体験講話を行いました【要旨別掲】。山脇さんは、自らの体験を紹介した上で、「核兵器を地球上からなくし、長崎を地球で最後の被爆地とするために皆さんの力を貸してください」と呼び掛けました。


また、茶道や折り紙、柔道など、日本の文化を体験する交流会も行われ、メンバーは日本の高校生らと親睦を深めました。


折り紙を体験したインドのバイブハブ・ファランデ君(17)は、「初めての体験だったが、とても分かりやすく教えてくれてうれしかった」と笑顔で話していました。


未来へ発信


"地球大統領"となり、行動を


会議の後半では、約10人ずつの20班に分かれ、グループワークを実施しました。議題は、<もしも、自分が"地球の大統領"になったら、平和のために何ができるか>です。参加者が"地球大統領"となり、世界各地の現状を踏まえ、核兵器廃絶や環境問題など未来のために行動を起こす所信表明をまとめました。


セネガルのシェイ・ティジャセム君(17)が参加した班は、「差別をなくし、人権を守る」との決意を表明。シェイ君は「長崎のことを深く知ることができる貴重な経験になった。学んだ内容を友人に語っていきたい」と目を輝かせていました。市内の中学校に通う本村淳生君(15)は、「外国の人とも時間をかけて、お互いが向き合えば、絆が深まる。皆と一つになれたことが、うれしい」と語っていました。


各班がまとめた所信表明は、「希望の花」と題した花型の大書きに記入して、市民らが参加した閉会式で報告されました。その後、世界地図に貼り、平和で明るい未来を築くことを誓い合いました。


閉会式に参加した田上富久市長は、平和会議の準備などに市内約1000人の若者が参加したことを紹介。その上で、「それぞれの国や地域で、平和を願う長崎の心を伝えてほしい」と念願していました。


最後に、海外の参加者に被爆の実相を伝えるために、学生らが作成したガイドブックが贈られました。2日間にわたり、長崎の歴史を学んだ子どもたちは平和で明るい未来を構築する決意を胸に歩み始めました。


被爆体験から


外務省に委嘱された「非核特使」 山脇 佳朗さん
父の遺体 見捨てた悲劇


私は、爆心地から2.2キロの自宅で被爆しました。青白い閃光が家中に走り、ごう音が響きました。畳の上に伏せて数分後、顔を上げると家の中の様子は一変していました。屋根も吹き飛び、空が見えていたのです。


兄弟3人で防空壕に避難しましたが、父は翌朝になっても帰らず、会社まで迎えに行くことに。道路沿いの家は焼け、電柱や街路樹は黒焦げになっています。がれきの間や川の中に、たくさんの人が死んでいました。


父が働いていた工場で私たちが見たのは、黒く膨れた父の遺体でした。焼け跡から木材を集め、火葬することにしました。翌日、遺骨を拾いに行くと、父の遺体は半焼けのまま灰に埋もれています。骨は少ししか拾えません。兄が火箸で父の頭蓋骨に触れると、頭蓋骨は石膏細工のように崩れてしまいました。私たちは、父の遺体を見捨てて逃げ出してしまいました。


私は、自分が味わったこの残酷な悲劇を、もう誰も体験してほしくないと願っています。


党県本部議員 参加者と懇談
公明、平和行進の実施を後押し


公明党長崎県本部の麻生隆代表と川崎祥司幹事長(ともに県議)、党長崎市議団(向山宗子団長)のメンバーは5日、平和行進に先立ち、世界各国の子どもたちと懇談しました。


子どもたちは「国や文化が異なる人々と友達になれました」と語り、麻生県代表は「この会議でできた友達と、これからも仲良くしていってもらいたいです」と期待しました。


この日行われた行進は、向山団長が6月定例会の代表質問で「被爆70年の今年、世界の若者が参加できる行進などの取り組みはどうか」と提案し、実現したものです。向山団長は「二度と核兵器を使用させないよう、今後も長崎の思いを発信していきます」と語っていました。

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