e温室効果ガス新目標

  • 2015.08.03
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月1日(土)付



党対策本部長 斉藤鉄夫幹事長代行に聞く

「26%削減」は現実的
省エネ・再エネ 強力に促進



政府は、7月17日の地球温暖化対策推進本部で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減目標を「2030年度に13年度比で26%減」(05年度比で25.4%減)とする約束草案を正式決定した。約束草案のポイントなどについて、公明党地球温暖化対策本部長の斉藤鉄夫幹事長代行に聞いた。


地球温暖化をどう見ているか。


斉藤鉄夫本部長 強い危機感を持っています。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は最新の報告書で、世界の平均気温が21世紀末に20世紀末と比べて最大4.8度上昇すると予想しています。


先進国に温室効果ガスの削減義務を課した現行の京都議定書は、排出量の多い米国が参加していない上、中国やインドなどは議定書の下での削減義務を負っていません。こうした国々も参加した新しい国際枠組みで、世界各国がさらに温暖化対策を加速させなければ、地球は破滅的状況に陥ると考えています。


日本の「26%削減」目標への評価は。


斉藤 再生可能エネルギーや火力発電など今ある技術を最大限に生かし、発電コストなどにも配慮した、技術的、経済的にギリギリ実現可能で意欲的な高い目標であると言えます。同時に、温室効果ガスを50年までに80%削減することをめざす先進国全体の長期目標を視野に入れた野心的なものだと評価しています。


約束草案に30年度の電源構成(エネルギーミックス)比率が明記されたが。


斉藤 エネルギーミックスの数字は、あくまで経済産業省が決めた目安ですが、「26%削減」目標の前提となるものです。特に、昨年決定した「エネルギー基本計画」で導入を「最大限加速」とした再エネの割合は、同計画で示された目標を上回り、22~24%程度となりました。公明党は、この割合がさらに高くなるよう技術開発を促していきます。


CO2の主な発生源である石油、石炭、液化天然ガス(LNG)による火力発電は現在、総発電量の9割を占めていますが、これを56%程度に低減します。その中でもCO2の排出量が少ないLNGの割合を増やし、総発電量の27%程度とするのが特徴です。


エネルギーミックスで総発電量に占める原子力の割合を20~22%程度(東京電力福島第1原発の事故前は約30%)としたが、公明党がめざす「原発に依存しない社会」はどう進めていくのか。


斉藤 原子力の比率「20~22%程度」は、現在すべて停止している原子力発電所を再稼働することが前提となっていますが、再稼働は原子力規制委員会の厳格な安全基準をクリアし、地域住民の理解を得ることが必要です。


仮に再稼働したとしても、運転40年を迎えた原発を原則通り廃炉にすると、30年時点の原子力の割合は最大で「15%程度」となります。経産省は、規制委員会が別に設けるさらに厳しい基準をクリアした原子炉に限り40年以上の運転延長を行って「20~22%程度」とする案を示していますが、公明党は、40年以上の運転がなくても温室効果ガスの削減目標を達成できるように、省エネと再エネの促進、火力発電の効率化をさらに強力に進めていくべきと考えています。「原発に依存しない社会」をめざすとの党の姿勢は、いささかも変えていません。省エネ、再エネの導入を推し進めて、3年ごとに見直す「エネルギー基本計画」で、原発比率を着実に減らしていきます。


草案をめぐる主要各国の動向はどうか。


斉藤 7月17日現在で先進国や主要国などを含めた18カ国と欧州連合(EU)が、20年以降の約束草案を国連に提出しています。このうち、米国が25年までに05年比26~28%減、EUが30年までに1990年比40%減と意欲的な目標を掲げています。


米国と並ぶ最大排出国の中国が、GDP(国内総生産)当たりの削減目標のみで、総排出量は今後も増やす計画であるのは今後議論を呼ぶところだと思いますが、優れた日本のエネルギー環境技術を世界に展開していく仕組みの構築も公明党として主張していきます。



約束草案


2020年以降の自主的な温室効果ガスの削減目標。今年末にフランスのパリで開かれる、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に先立って加盟国がそれぞれ国連に提出する。日本は温室効果ガスの排出量を50年までに世界全体で半減などの長期目標を見据え、約束草案で30年度に13年度比26%減の目標を掲げた。COP21では、京都議定書に代わる新たな国際枠組みの採択をめざす。

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