e平和安全法制 衆院審議の現場から

  • 2015.07.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月19日(日)付



特別委理事 

遠山清彦氏



質疑時間を十分確保



"強行"批判当たらず 手順踏んだ「正常な採決」



16日に衆院を通過した「平和安全法制」の関連法案は、衆院特別委員会で50日を超える審議が行われた。15日に特別委で採決した理由や、審議の経緯について、特別委の公明党理事として審議の最前線に立った遠山清彦氏に語ってもらった。


特別委員会の運営では、与党として、野党側の要求を最大限受け入れ、十分な質疑時間の確保に努めました。さらに、原則として質疑時間の9割程度を野党側に配分しました。その結果、審議時間は歴代6位、平成に入ってからの安全保障関連法案では最長の116時間超となり、野党委員1人当たり7時間以上の質疑時間を確保。首相出席質疑も計45時間を超えました。


そうした中で、主要な論点が出尽くし、野党側でも質疑時間をいたずらに浪費するような質問も目立ってきたことから、与党として、採決の機は熟したとの判断に至りました。



民主党の周到な"演出"こそ問題



15日の採決は、前もって14日の理事会で野党側に提案した上で決めました。だからこそ、採決前の締めくくり総括質疑では民主、維新、共産の野党各党が質問に立ち、維新は反対討論も行ったわけです。審議の途中で突然動議を出して採決に持ち込んだわけではなく、必要な手順を踏んで採決に至ったのであり、「強行採決」との批判は当たらないと思います。


むしろルールを無視したのは民主党です。採決の際、民主党議員は周到に用意したプラカードを、必要な許可を得ずに無断で持ち込み、特別委員長を取り囲んで大声を浴びせる示威行動に出たのです。これに対し「疑問なのは、多数の民主党議員らが採決時に委員長席に詰め寄って怒号を上げ、与党の『強行採決』を"演出"したことだ」(16日付「読売」)との声が上がったように、「言論の府」にあるまじき行動だったと言わざるを得ません。



「反対」だけの野党第1党



審議の過程においても、維新の党が、政府案への事実上の対案となる独自案を出し、わが国の安全保障に対する真摯な対応を示したのとは対照的に、民主党は、政府の法案にひたすら「反対」だけの路線でした。政権与党を経験した野党第1党にもかかわらず、建設的な議論ができなかったことに、強い失望感を抱かずにはいられません。


民主党議員の質疑では、人によって安全保障政策についての認識や考え方がかなり異なっていました。これでは党内の意見集約もままならないでしょう。それ故に、対案をまとめられず、「領域警備法案」を維新と共同提出するのが精いっぱいだったのだと思います。



揚げ足取り、同じような質問も



質疑時間の大半を占めた野党側の質問では、自衛権行使をめぐる合憲・違憲の議論などに多くの時間を費やし、同じような質問を繰り返すことも多々ありました。自衛隊の出動や海外での活動について、首相や政府が国会の意見や判断も聞かずに勝手に決めるかのような誤った前提での議論をはじめ、揚げ足取り、失言狙いのような質問も少なくありませんでした。


結果として、「平和安全法制」全体への国民の理解が十分に進んでいないとの指摘を招いたことは残念でなりません。

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