eドローン安全に利活用 2法案で飛行ルール整備

  • 2015.07.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月18日(土)付



「禁止」「許可」「可能」 3区域を明確化



政府は14日にドローンなど無人航空機の安全な利活用に向けた飛行ルールを定めた航空法改正案を閣議決定し、国会に提出した。また、9日には国の重要施設と周辺地域の上空で飛行を禁止する法案(議員立法)が衆院を通過。両法案とも今国会での成立が期待されている。公明党は「小型無人飛行機(ドローン等)対策プロジェクトチーム」(PT、高木美智代座長=衆院議員)を立ち上げ、安全な利活用に向けた方策を探ってきた。


ドローンなど無人航空機は近年、人が立ち入れない災害現場での調査活動などの分野で活用が拡大している。昨年8月に広島市北部で発生した土砂災害では、ドローンが上空から撮影した現場の被害状況を基に測量図を作成し、復旧作業に役立てたという。


また、農業の分野でも農作業の効率化を図るため、農薬や肥料の散布などに無人航空機の活用が進んでいる。千葉県富津市内の水田で小型無人ヘリコプターを活用する農業生産法人・株式会社百姓王(森田泰彰代表取締役CEO)は、「作業も楽になり、人件費削減にもつながる」と生産性向上の効果を強調している。


一方で、今年4月には首相官邸の屋上への落下事件が発生。同5月にも長野市の善光寺境内に墜落するなど、安全な飛行に向けた基本的なルールづくりが求められていた。


そこで、議員立法の法案では、国会議事堂や首相官邸、原子力発電所などの重要施設とその敷地内、敷地の境界線から300メートル以内の上空で飛行を禁止。航空法改正案では、空港周辺など航空機の安全飛行に支障を来す空域や、人や家屋が密集している地域の上空での飛行を国の許可制にした。


また、飛行させる場合のルールを(1)日中に飛行させる(2)周囲の状況を目視で常時観測する(3)人や物件との間に距離を保って飛行させる(4)危険物や爆発物を輸送しない―などと定めた。両法案とも、違反者には50万円以下の罰金を科す。ただし、事故や災害の発生時に公共機関が捜索・救助活動などを目的に飛行させる場合はルールの適用外とした。


太田昭宏国土交通相(公明党)は14日の閣議後記者会見で、ドローンなどの規制と利活用の考え方について「地上の人や物件の安全を確保しながら、今後の技術開発や利活用に支障が生じることがないようにしていきたい」と強調。今後は規制内容の周知徹底を図るとともに、安全確保の体制が取れた事業者などへの飛行許可は柔軟に対応する方針だ。

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