e小型武器規制 日本主導で新たな課題克服を

  • 2015.06.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月19日(金)付



拳銃や自動小銃などの小型武器。紛争で年間約50万人という多大な死者を出す元凶として深刻視されている。


一方、紛争以外で小型武器により命を落とす人は、年間20万人前後に上るといわれている。小型武器を不正に入手する者が増えれば、当然、犯罪の増加につながる。小型武器が犯罪組織やテロリストの手に渡るのを防ぐには、違法取引を阻止する必要がある。


国連は1995年から小型武器規制に向けた取り組みを開始。2001年の国連小型武器会議では、小型武器の非合法取引の防止に向けた「行動計画」が採択された。それ以降、同計画の実施状況などを確認する国際会議が継続されている。


今月開かれた国連小型武器行動計画の第2回政府専門家会合から、新たな課題が本格的に議論されるようになり、注目を集めている。それは、合成樹脂(プラスチック)製の銃器と、その製造を容易にする3次元積層造形装置(3Dプリンター)の規制に関わる問題である。この動きを大切にしていきたい。


プラスチック製の銃器は金属探知機に反応しないため、税関などで不正輸出を防ぐことが困難である。


また、01年の行動計画には、小型武器の製造時に製造国名、製造者名、シリアルナンバー(製造番号)などを刻印し、不正取引が行われた場合、どこから流出した武器なのか追跡できる仕組みづくりを各国が進めている。しかし、プラスチック製の銃器の場合、刻印を簡単に削り取ることができるため、追跡できないケースが後を絶たない。


3Dプリンターは今や、日本でも家電量販店で買えるようになっている。13年には、3Dプリンターで製造できる銃の設計書がネット上に公開され、大きな問題となった。


昨年、神奈川県在住の大学職員が、同設計書を基に銃を製造し、逮捕されたことは記憶に新しい。3Dプリンターさえあれば、銃の製造が可能であるという状況であり、3Dプリンターの用途に着目した規制を急ぐべきだ。


日本は小型武器の規制をどの国よりも真剣に進めていると国際社会から評価されている。新たな課題への取り組みを日本が主導してほしい。

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