eコラム「北斗七星」

  • 2015.06.03
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月3日(水)付



実家の近くに子どもの時から誰も住んでいない家がある。建物は傾き土壁は崩れ落ちている。剝げ落ちた外壁、割れた窓ガラス、ゴミ捨て場と化した庭。こうした空き家を目にする機会が増えた。放置しておくと地域は荒廃するし犯罪の温床にもなりかねない◆5月26日に施行された「空き家対策特別措置法」は、防災・防犯・景観などの観点から空き家管理に市町村が取り組む具体策を定めた法律だ。人口減少と少子高齢化の急速な進行で、今や空き家の戸数は全国で820万戸もあるという◆法律の施行で、市町村は固定資産税の納税情報を利用し空き家の所有者を把握できるようになった。(1)倒壊などの危険がある(2)衛生上著しく有害(3)景観を著しく損なっている(4)周辺の生活環境に悪影響を与えている―のいずれかに該当する空き家を「特定空き家」と認定し、立ち入り調査や、所有者に対する修繕・撤去、勧告、命令が可能となった◆所有者が勧告に従わなければ固定資産税の優遇措置を打ち切ることもできるし、命令に従わない場合は強制解体も行える。法律は市町村に"まち再生"の権限を委託したようなものである◆それだけに「特定空き家」を増やさないためにも補修費助成や貸し出し、さらには空き家を生かした地域活性化へのアイデアの創出を期待したい。(流)

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