e「創造的復興」の実現へ

  • 2015.06.01
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年6月1日(月)付



財源は十分な配慮を

党復興加速化本部長
井上義久幹事長に聞く



自民、公明の与党両党は5月29日、東日本大震災の復興加速に向けた第5次提言を安倍晋三首相に申し入れました。提言のポイントなどについて、井上義久幹事長(党東日本大震災復興加速化本部長)に聞きました。



福島再生へ帰還と定住促進


与党第5次提言


―提言を申し入れた背景は。


井上義久幹事長 これまで、単なる復旧・復興ではなく、被災地から地方創生のモデルをつくる「創造的復興」をめざし、政府・与党一体となって被災地の復興加速を進めてきました。


岩手、宮城両県で住宅再建やまちづくり事業の約9割に着手する一方、福島県では地域間で復旧・復興の進捗状況に大きなばらつきが見られます。3県を中心に、いまだ22万人を超える避難者がいる現実を直視しなければなりません。被災者が一日も早く希望を持ち、当たり前の日常を取り戻すため、復旧から復興、そして復興の完了への歩みを確かなものとする第5次提言を申し入れました。


―提言のポイントは。


井上 提言では、今年度末で終了する集中復興期間後の5年間(2016~20年度)を新たに「復興・創生期間」と定め、復興事業の方向性を示しました。その上で、福島の復興加速をいかに進めていくかに主眼を置いています。


第一に、「帰還を願う人」「今の居住地で新たな生活を始めたい人」と、被災者それぞれが人生設計を描けるようにすることが最も大切です。その前提に立ち、住民の早期帰還が「真の復興」の重要な一歩だと位置付け、県内の「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」は17年3月までに避難指示を解除するよう、目標期限を設けました。併せて、除染や生活に密着したサービスの復旧などを加速させるよう要請しています。


精神的損害賠償(慰謝料)については、避難指示解除の時期にかかわらず、一律に18年3月まで継続し、解除時期で受取額に差が生じないように求めています。


―「復興・創生期間」で重視すべきことは。


井上 住宅再建などの基幹的事業や原発事故由来の事業、「創造的復興」の実現に不可欠な事業の財源は原則、全額国費負担にすべきとしました。例外的に、一部事業で自治体負担の導入を検討する際には、復興の足かせとならないよう、自治体の財政状況に十分配慮すべきとしています。


―公明党が特に強調した点は。


井上 公明党は、被災3県に担当国会議員を決めて現場に密着し、地元議員と連携する中で、きめ細かなニーズを提言に反映しました。廃炉・汚染水対策では、情報公開を徹底して地元関係者との信頼関係の再構築を図るよう明記。さらに、事業者への個別の訪問による実態の把握や働く場の確保、営業損害や風評被害の賠償に適切な対応を求めています。


このほか、中間貯蔵施設の建設に必要な用地交渉では、地権者の声に寄り添い、丁寧な説明に努めるとともに、三陸縦貫自動車道などの復興道路や復興支援道路の必要な事業量の確保、JR常磐線の早期全線開通の実現も盛り込みました。


―今後の決意を。


井上 震災から4年2カ月が経ち、それぞれの被災者や地域の課題が多様化する中、柔軟かつ、きめ細かな支援の重要性は増しています。公明党は、産業・なりわいの再生など、新たな復興のステージに応じて現場のニーズをくみ取り、復興が完了するその日まで、ネットワークの力を駆使して寄り添う支援に徹し続けます。そして、被災者一人一人の明るい未来を切り開くため、総力を挙げていきます。

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