e都市農業は貴重な財産 振興基本法が成立へ

  • 2015.04.08
  • 政治/国会
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公明新聞:2015年4月8日(水)付




公明推進 農地の活用と保全を明記

 


参院農林水産委員会は7日、都市農業を守る「都市農業振興基本法案」を委員長提案として、全会一致で可決した。自民、公明の与党両党を中心に取りまとめた議員立法で、今国会で成立する見通しとなった。公明党が、かねてから提案してきた都市農業の振興に向けた新法の制定が実現する。


法案の特徴は、都市農業の役割と価値を法律に明記したこと。都市住民への新鮮な農産物の供給に加え、都市の環境保全や防災、住民交流の場など多様な機能を果たしていると規定した。


その上で、都市農業の多様な機能が将来にわたり十分発揮されるよう、農地の有効活用と適正保全をめざし、政府に基本計画を定めることを義務付けている。基本計画は、公明党の提案により、省庁の縦割りを排除して農水、国土交通両相が連携して作成し、閣議決定するようにした。


地方自治体は基本計画に沿って、地方計画の策定に努めることとした。このほか、都市農業の振興に向けた基本施策として、国と地方自治体が都市農地と市街地が共存する良好な環境をつくるために、的確な土地利用計画を策定することなどを盛り込んだ。


同法案提出の背景には、都市農業を取り巻く厳しい現状がある。都市農業の多様な機能に対する都市住民の関心が高まりつつある一方、宅地化の進展で農地の減少に歯止めがかかってこなかった。都市農地にかかる相続税や固定資産税の重い負担などの課題を抱え、都市農家のほとんどが営農の継続に不安を募らせている。


公明党は、都市農業振興プロジェクトチーム(座長=高木美智代衆院議員)を中心に関係者との意見交換や現場視察を重ね、国会質問などを通して都市農業振興基本法の制定を再三にわたり主張。これまでの国政選挙に続き、統一地方選の重点政策にも掲げている。今回の法案取りまとめでは、与野党の合意形成でリード役を果たした。



次世代に食の大切さ継承



JA都市農業対策委員長(JA東京中央会会長) 須藤 正敏氏



高度経済成長下で農地転用による宅地化の流れに耐えた都市農業の重要性が法的に位置付けられるのは、画期的なことだ。心から感謝したい。法律が制定されれば、農水相と国交相を中心に振興への基本計画をつくることになるが、都市農地が減少しないよう、それぞれの役割を明確にして実行に移してほしい。都市部で減少の一途をたどってきた農地に歯止めをかけなければならない。


これからの農業の役割で特に重要だと思うのは、地産地消を通じた子どもたちの食育だ。収穫体験を通して、自然の恵みを享受する喜びも感じられる。


"生命尊厳"を掲げる公明党がこの点を重視して、次世代に食と命の大切さを継承するために、学校教育での農作業体験の充実を基本施策に盛り込ませたことを評価したい。

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