e派遣法改正案Q&A

  • 2015.03.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月17日(火)付




労働者保護、支援を強化

「臨時的な働き方」の明記など

公明提案の修正反映

正社員化促す助成金を拡充 雇用安定も義務付け




今国会で再提出された労働者派遣法改正案には、公明党の要請による修正が反映され、派遣労働者を保護する趣旨が一層明確になりました。法案のポイントや修正内容についてQ&A形式で紹介します。


Q 法案のポイントは。


A 正社員を希望する派遣労働者には、その道が開かれるよう支援し、派遣労働を希望する人には待遇の改善を進めます。具体的には、派遣労働者の雇用安定やキャリア形成支援の取り組みを強化。その実効性を担保し、業界の健全化を図るためにも、現在、届け出制を認めている派遣事業を全て許可制にします。

業務ごとに派遣労働者が働ける期間が異なる現行制度も、派遣元(派遣会社)、派遣先、派遣労働者の全てに分かりやすい制度へと見直します。



Q 派遣労働者が働ける期間はどうなるのか。


A 従来、期間制限のなかった「専門26業務」(秘書、研究開発など)の区分を廃止し、全ての業務で期間制限を行います。派遣元に有期雇用されている派遣労働者であれば、派遣先の同じ職場(会社の「課」など)で働ける期間の上限を3年に設定。また、派遣先の事業所ごとに、派遣労働の受け入れができる期間を原則3年とする制限も設けます。


無期雇用の場合は、これらの制限の対象外です。


Q こうした期間制限を設ける理由は。


A 派遣労働者個人の期間制限は、不安定な有期雇用の派遣労働のまま、同じ職場に同じ仕事で固定されることを防ぐためです。3年ごとの職場変更により、派遣労働者が経験を積み、キャリアアップにつなげていくことにもなります。


派遣先ごとの期間制限には、派遣労働者に仕事を任せ続けることで、正社員との置き換えが進むのを防ぐ目的があります。また、現場をよく知る労使の話し合いにより、派遣先が派遣受け入れを延長することもできるようにして、より実態に即した判断を可能とします。労働組合が延長に反対した場合には、派遣先に今後の対応などを説明する義務も求めています。


Q 雇用安定やキャリア形成支援については。


A 派遣元に対し、個人の期間制限を迎える派遣労働者に▽派遣先への直接雇用の依頼▽新たな派遣先の提供―などを講じる「雇用安定措置」を新たに義務化。計画的な教育訓練や、キャリア形成に関する相談の実施も初めて義務付けました。これらの義務を果たさない派遣元には、許可の取り消しも含めて、行政がしっかりと指導します。


派遣先には、自社の正社員募集情報の提供を義務付けます。「キャリアアップ助成金」も拡充し、派遣労働者を正社員として雇う場合の支給額を60万円から80万円に引き上げます。


Q 待遇の改善は。


A 派遣元には、派遣労働者の賃金などについて、派遣先の労働者との間でバランスの取れた待遇を確保するために配慮した内容を説明する義務を新設。派遣先には、業務に関連した教育訓練の実施や、休憩室など福利厚生施設の利用について、派遣労働者への具体的な配慮を義務付けます。


Q 修正の主な内容は。


A 公明党は今回、派遣労働が原則として「臨時的・一時的なものである」との考え方を明記させました。また雇用安定措置のうち、「派遣先への直接雇用の依頼」を法律で定める一番目の事項に位置付け、直接雇用の重要性を明確化。「新たな派遣先の提供」も「能力や経験などに照らして合理的なものに限る」としました。


Q 改正案で「生涯にわたる派遣が増える」「派遣労働者が使い捨てにされる」などの指摘もあるが。


A 改正案は正社員を望む派遣労働者への支援や、派遣労働者の待遇改善を進めるものです。特に派遣元の義務が強化され、義務違反には厳しく対応するとしています。派遣先での待遇改善や正社員化も促しており、批判は当たりません。

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