e大震災の教訓を世界へ

  • 2015.03.16
  • 情勢/国際

公明新聞:2015年3月15日(日)付




第3回 国連防災世界会議が開幕仙台市



世界の防災戦略を議論する第3回国連防災世界会議が14日、開会式に天皇、皇后両陛下をお迎えし仙台市で始まった。出席した安倍晋三首相は、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害犠牲者を減らすための国際貢献策「仙台防災協力イニシアチブ」を発表。2015~18年の4年間で途上国などに対しハード、ソフト両面で40億ドルの協力を行うと表明し、各国で防災分野のリーダーとなる人材を4万人育成していく方針も打ち出した。



100カ国超から首脳、閣僚

被害最小化へ新指針討議




会議には、100カ国を超える首脳、閣僚級が出席。開会式で国連の潘基文事務総長は、震災から4年が経過したことに触れ「被災者に思いを寄せ敬意を払うためにも会議をぜひ成功させなければいけない」と述べた。


首相は、東日本大震災で各国から寄せられた支援に謝意を表明。震災と東京電力福島第1原発事故を踏まえ、「長期的視点に立って、さらなる防災投資に取り組む」と言及。「震災前よりもより良いふるさとにしたい」との被災地の声を紹介し、復興の際は単に災害前の状態に戻すのでなく、より強い社会をつくる「ビルド・バック・ベター」(より良い復興)の考え方を提唱した。


仙台防災協力イニシアチブは基本方針で、長期的視点での防災投資の重要性や気候変動がもたらす災害などへの適切な対応、中央政府と自治体、企業、NGOなど多様な主体との連携などを提示。具体的に(1)防災教育推進などのソフト面支援(2)災害に強い公共施設整備などのハード支援(3)国際的な災害統計の整備への貢献――などを盛り込んだ。


仙台会議では、05年に神戸市で開かれた第2回会議で策定された10年間の防災指針「兵庫行動枠組」の後継指針を議論。30年を見据え、災害被害の最小化へ具体的な指標の設定をめざす。


新指針は、防災対策推進に向けた政治メッセージ「仙台宣言」(仮称)とともに最終日18日に採択される。


14日夕の会見で国連の潘事務総長は「(被災地の)皆さんのレジリエンス(回復力)に非常に驚いた。仙台から希望を発信したい」と述べた。



被災地からの発信を公明後押し



公明党は、2011年5月に発表した「東日本大震災復旧復興ビジョン」の中に、被災地での国際会議の開催を明記していたほか、国連防災世界会議を仙台市で開催するよう強く訴えてきた。


開催地の決定後は、山口那津男代表、井上義久幹事長らが各国要人との会談や国会質問で、日本が防災先進国として東日本大震災で得た教訓や知見を世界に発信し、防災を各国の主要な政治課題に取り入れる機会にすべきと主張。今月2日には、首相に対して同会議を契機に「東北を防災(対策推進)の拠点とし、教育研究機関とも連携を深め、各国の防災機関の向上に貢献するよう尽力してもらいたい」と要請した。


さらに、同月7日に仙台市で開いた党東日本大震災復興加速化会議で採択された「公明党復興加速化決議~新しい東北へ~」では、「国連防災世界会議の成果を踏まえ、世界の防災・減災をリードします」と、うたっている。



公明が公開フォーラム

意識調査踏まえ議論 写真展も同時開催




公明党宮城県本部(石橋信勝代表=県議)は14日、仙台市でパブリックフォーラムを開き、東日本大震災の初動対応や今後の課題について、有識者を交えて活発に議論した。公明党の真山祐一衆院議員や被災地の公明議員が参加した。意識調査結果について、活発に議論する真山氏ら


同フォーラムは、二つのパネルディスカッションで構成。第1部は、震災復興支援グループ「きぼう」の浅見健一代表、兵庫県淡路市の野島断層保存館の池本啓二課長らが初動対応について検証を行った。


この中で浅見代表は、障がい者を災害弱者にさせないようコミュニティー形成の強化が重要だと指摘。池本課長は、自ら行っている語り部の活動を踏まえ、震災の記憶を次世代へ伝えていく必要性を強調した。


第2部では、公明党が今年2月に被災3県で行った意識調査の結果を基に議論。宮城復興支援センターの茂木秀樹センター長、石巻市で移動支援などを行う「ぐるぐる応援団」の鹿島美織代表らが、災害ボランティアコーディネーターによるコミュニティー支援や、移動困難の課題などをめぐり活発に意見交換した。


真山氏は、「集中復興期間終了後も、継続的な財政支援が講じられるよう対応に努める」と述べた。


なお、同フォーラムでは写真展「『人間の復興』へ」(制作・公明新聞)も開催。訪れた米国人男性(40歳代)は「震災の恐ろしさとともに、被災者の力強さを感じた。"心の復興"という視点にも強く感銘を受けた」と語っていた。

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