e介護の担い手拡大 市町村は きめ細かいサービスを

  • 2015.03.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月13日(金)付




介護保険制度改革に伴い、4月から介護サービスの担い手が広がる。改革の柱の一つとして要介護度が低い要支援1、2の人を対象にしたサービスの一部を国から市区町村に移す。高齢者が介護施設に頼らなくても、自宅で生活しながら必要なサービスを受けられるようにすることが目的である。


具体的には、全国一律のサービス内容である訪問・通所介護を新しい「地域支援事業」に移行させる。介護事業所による既存のサービスに加え、特定非営利活動法人(NPO法人)や住民ボランティアも生活支援やミニデイサービスを提供できるようになる。


今回の改革によって市区町村は、地域の実情に合わせた事業が展開できる一方、利用者にとっては個々のニーズに合わせたサービスの選択肢が増えると期待されている。


一部には、サービスの低下につながりかねないと懸念する声もあるが、移行後も財源は介護保険制度の枠内で確保される上、現在の制度では対象にならないきめ細かいサービスも可能になる。また、市区町村の定める基準を満たしたNPOやボランティアしか事業を行えないので、サービス水準は十分に確保される。その上で、市区町村は担い手のレベルアップに向け、研修などの実施に努めてほしい。


既に、住民が介護の分野で活躍している地域もある。秋田県鹿角市では、高齢者が集えるサロンを市内6カ所に設置。運営はボランティアや自治会が担い、軽度の介護を要する人も利用できるので好評を博している。同市は新制度移行後も介護サービスの一つとして継続する方針だ。こうした取り組みは、大いに参考になるのではないか。


新制度への移行は、経過措置として2018年4月までかけて行われる。しかし、市区町村によっては、人材が確保できないため円滑に移行できなかったり、住民への周知が徹底されていないケースも少なくない。


政府は、地域間でサービスに大きな開きが出ないよう十分に配慮していく必要がある。新制度の早急な移行・運用に向けた相談体制の充実や必要な情報提供など、市区町村への支援体制に万全を期してもらいたい。

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