e食品表示法の施行 適切な表記で消費者の健康守れ

  • 2015.03.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月7日(土)付




食品表示ラベルの記載内容の統一などを目的にした食品表示法が、4月1日から施行となる。現在の食品表示の基準はアレルギーの有無を定める食品衛生法、原産地や原材料名を示す日本農林規格(JAS)法、栄養表示に関する健康増進法の3法で決まる。


しかし、製造者名や保存方法などは各法律で表示基準が異なり、表記される言葉の意味も違う。例えば、ドライフルーツのような乾燥果実は食品衛生法では「生鮮食品」だが、JAS法では「加工食品」となる。また、食品の袋詰めを行う企業は「製造者」(食品衛生法)や「加工者」(JAS法)となり、統一されていない。法の施行によって消費者の誤解を招く表示を改善し、より賢く食品の選択をできるようにするのが目的だ。


専門知識が乏しい消費者にとって、食品表示は命綱と言ってよい。特に、重篤化することも少なくない食物アレルギーのある子どもが、危険な成分を含む食品を見過ごして食べる事故が多い。食品表示法は公明党の主張により、消費者がアレルギー表示を具体的に理解できるよう改め、表示が適正でないために消費者の健康が損なわれる場合の罰則規定も設けた。国民の生活を守る上で当然だ。


一方、食品表示法の施行は、食品業界にとって経営チャンスとなる可能性がある。同法の施行に伴い「機能性表示食品制度」がスタートする。同制度で安全基準を明確に満たした健康関連食品について、「具体的に健康にどのように効く商品か」を企業の自己責任で公表できるようになる。また、「トクホ」で知られる特定保健用食品制度の国の審査基準を一部緩和し、より多くの企業が自社製品の販売機会を得られるようにした。質の高い製品を出す企業が増えれば市場競争は活性化し、消費者が自分の健康に合った商品を選びやすくなる。


しかし課題もある。健康志向の高まりで外食産業界に健康増進をうたうメニューが増えたが、今回の法施行は外食におけるアレルギー表示のあり方の規定までには至らなかった。表示の細かな文字を見やすくする対策も重要だ。


食の安全・安心は、国民の健康維持の基盤である。不断の制度改善を求めたい。

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