e近未来技術実証特区 本格導入で過疎地の活性化を

  • 2015.03.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月6日(金)付




少子高齢化と人口減少の急激な進行で過疎化が進む中山間地や離島の住民生活の利便性を高める新たな技術として注目されている「近未来技術実証特区」。この特区を導入し、地方創生につなげていこうとする試みが本格的に動き出そうとしている。


これは政府が進めている、地域限定で大胆な規制緩和を行う国家戦略特区の地方版である地方創生特区の一つ。


近くに病院がなく、医師や看護師も不足している地域で暮らす住民のために、情報通信技術(ICT)を活用し、テレビ電話などによる遠隔医療の実証実験が行われる。また、少子化の影響で子どもが少なく、小中学校も廃校となった過疎地で、義務教育においても通信制を取り入れることも視野に入れ、テレビ会議方式による遠隔授業を可能にする実験も進められる。


このほか、買い物をするために高い船賃を払い、本土に行かなければならない離島の住民に、荷物の運搬や医薬品などの緊急物資を輸送できるようにする無人飛行機(ドローン)の自動飛行実験。さらに、運転手がハンドルやアクセルを操作しなくても、センサー(光、熱、音などに反応する感知器)で障害物を認識しながら自動運転する次世代車の自動走行実験も実施されることになっている。


すでに150近い企業や自治体が導入に名乗りを上げており、政府は有識者によるヒアリングなどを経て、今春をめどに同特区に指定する具体的な対象地域を絞り込む。


特区で実用性が確認された新技術は、その地域に導入され、住民生活に役立てられるとともに、特区指定地域がそのまま技術の開発拠点となるとされている点は画期的だ。住民生活の向上とともに、新技術の発信地として、地域が活性化していくことも期待できるだろう。


新技術の本格的な導入には、従来の制度的制約の壁を取り払う必要があり、課題も多い。例えば、遠隔医療によりテレビ電話で患者の状態を把握し、適切な指導が行われたとしても、それを指導料などとして精算できないため、遠隔診療も診療報酬の対象とする必要がある。新技術をスムーズに導入できるように環境整備も進めてほしい。

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