e買い物弱者対策 国や自治体による支援が必要

  • 2015.03.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月3日(火)付




野菜や果物、卵などを買いたくても身近な商店が閉店してしまった。高齢で車の運転ができず、足腰も弱くなり、買い物に出かけたくても出かけられない。そうした日常の買い物に苦労している「買い物弱者」が増えている。


農林水産省の農林水産政策研究所が昨年10月に公表した推計によると、住まいから生鮮食料品店まで直線で500メートル以上離れていて、移動手段として自家用車を使えず、食料品の購入が困難な65歳以上の人は、2025年に全国で598万人になるという。買い物弱者は、10年の時点で382万人いるとされていたから、25年には56.4%の大幅増になる。


一方、農村部の増加率は約24%であるが、都市部は約93%に上り、買い物弱者の増加は今後、都市部で顕著になっていくと見込まれる。人数をみても、25年の段階で農村部が249万人、都市部が349万人に達し、都市部が一気に深刻な問題に直面する恐れがある。


特に、都市部郊外の大規模住宅団地である「ニュータウン」は、商店が近くにない地域に住宅地を造成している場合が多く、住民の高齢化に伴い、買い物弱者が増えていくと懸念されている。


具体的な支援策を急がなければならない。経済産業省は2月23日から3月20日まで、全国9地区で買い物弱者問題に関するシンポジウムを開催し、対策のあり方を探っている。公明党も統一地方選の重点政策で、買い物弱者対策の強化を掲げ、支援事業の立ち上げに必要な資金の補助などを打ち出している。


経産省が23日に都内で開いたシンポジウムでは、地域のスーパー撤退後、地元住民が出資し、公明党市議も設立を後押ししたスーパーを開店した新潟県十日町市や、生活協同組合と協働で食料品の移動販売車事業を進めている千葉県野田市などの事例が紹介された。一方で、こうした取り組みは採算性の確保や継続が難しいとの問題も指摘されており、国や自治体の一層の支援が必要であろう。


誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、買い物弱者対策に本腰を入れて取り組んでいかなければならない。

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