e人道国として重要な決断

  • 2015.02.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年2月24日(火)付




クラスター弾廃棄完了

識者に聞く

NPO「難民を助ける会」 長 有紀枝 理事長



自衛隊が所有する1万4000発のクラスター弾の廃棄がこのほど、完了した。非人道兵器廃絶の最前線で活動を続けてきたNPO法人「難民を助ける会」の長有紀枝理事長に意義や今後の課題を聞いた。



公明党の地道な努力が実る



―自衛隊が保有するクラスター弾の廃棄が完了しました。



長有紀枝理事長 クラスター弾を持って守られる国益よりも、無くすことで得られる長期的な国益の方が日本にとって大きい。今回、日本が世界に示した姿勢は人道大国としての指標になる重要な政治的決断だった。


国内外を問わず、政党は時代によって力を入れる事項が変わってしまうことが多い。しかし、公明党は平和を掲げる党として長年にわたり一貫して非人道兵器廃絶の問題に取り組んできた。公明党の努力がクラスター弾、対人地雷の廃棄両方を動かす大きな力になったと思う。



―今なおクラスター弾の廃棄条約に加入していない国があります。



長 条約に加入した、しないだけでは測れない中間領域があると思う。もちろん条約に入ってくれれば一番良いが、そうでなくても非人道兵器の現実的な禁止は達成できる。軍事的な理由で条約に加入したがらない国には兵器を使う権利は残しつつ、限りなく白に近いグレー、つまり使わない、造らないという宣言をしてもらうなどで結果的には条約に入ったと同じ効果が得られる。こうした現実的な働き掛けを進めていきたい。



―いまだに非人道兵器による被害は絶えません。



長 「難民を助ける会」のホームページの最新ニュースにはシリアの地雷被害者の記事が載っている。地雷の数は確実に減少しているものの、こうした実態を聞くたびに衝撃を受ける。


哲学者のハンナ・アーレントは、ある講演の冒頭で「暗い時代」について定義した。ユダヤ人としてナチス・ドイツの時代を経験した彼女だけに当然その時代を指すと思ったが、彼女は「人間が自分の身の回りのことにしか関心を抱かなくなった時」と述べた。われわれは意識的に世界の悲しみに対して、「このままではいけない」と思い続けないといけない。その意味で、政治やメディアが国際協力を推進するメッセージを発信していくことはとても重要だ。



―日本が取るべき国際貢献のあり方は。



長 国際貢献は、その必要性に気付いた人が1回だけ大きな花火を打ち上げても効果は薄い。魔法の杖はなく、息長く次の世代にバトンタッチしながらの長期的な活動を行うしかない。


地雷禁止国際キャンペーンでノーベル平和賞を受賞した米国のジョディ・ウィリアムズは、「地雷だけがなくなっても世界は良くならない」と言った。以前、地雷で片足を失ったカンボジアの女の子も同じことを話してくれた。つまり、貧困や抑圧など「人間の安全保障」に関する問題に関して包括的に対処しないと根本的な解決にはつながらない。これからの日本は国際貢献の価値をそこにこそ見いだしてほしい。今まさに日本の進むべき道が問われている。

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