e「リトル・フリー・ライブラリー」が好評

  • 2015.02.06
  • 生活/生活情報

公明新聞:2015年2月6日(金)付



住民の交流深める街中の本箱

バス停に設置し、普及めざす

公明市議、市民団体が推進

鳥取市



街中に設置された小さな本箱から自由に本を借りられる「リトル・フリー・ライブラリー」が現在、鳥取市内で広がりつつある。米国など海外での普及例を参考に取り組んでいるのは、公明党の桑田達也・鳥取市議。「市民が本と身近に接する街に」と意気込む同市議らの活動を追った。



誰でも自由に手に取って



桑田市議は一昨年11月、東日本大震災で被災した福島県南相馬市を訪れ、ボランティア活動に取り組んだとき、高齢者が孤立化している実態に直面した。「読書をコミュニケーションのきっかけにしたらどうだろうか」。本箱を仮設住宅の集会所前に置き、鳥取市民から寄付された書籍を並べた。さらに、自治会長が本箱の前にテーブルを設置すると、部屋にこもりがちだった住民が外に出て会話する場面が増えたという。


「ぜひ鳥取でも」と桑田市議は昨年5月、友人らと市民団体「リトル・フリー・ライブラリー鳥取」を発足。市の担当者と話し合い、市循環バス「くる梨」の中央郵便局前の停留所に第1号の設置が決まった。


「フリー」が"売り"のライブラリーは、何冊借りてもよく、返却期限もない。誰でも自由に借りられ、読んでもらいたい本を寄贈するのも自由だ。現在、本箱は中央郵便局前のほか、県庁前と、童謡やおもちゃを紹介する施設「わらべ館」前の3バス停に設置されている。


鳥取県は、水木しげるさん、谷口ジローさん、青山剛昌さんなど著名な漫画家を多く輩出し、「まんが王国とっとり」をPRしていることから、県庁前には漫画をそろえた。このほか、中央郵便局前は映画原作本、わらべ館前は児童書と、設置場所によって大まかにジャンルを分け、定期的に入れ替えも行う。


また、貸し出す本には感想を書き込めるカードが挟まれており、読んだ人同士の交流促進も図っている。ライブラリーの運用は利用者のモラルに委ねられているが、これまでに本の盗難はなく、数冊の寄贈があった。


普及活動には、市立東中学校の校区内の保護者らでつくる「東中サポーターズ」(嶋司哲則代表)も協力している。嶋司代表は「スマートフォンの普及で、本のぬくもりを感じる場が減っていると思う。ページをめくる喜びを伝えたい」と話す。


今後も設置箇所を増やそうと計画している桑田市議。「将来的には公園などへの設置もめざしている。本をきっかけにした世代間の交流につなげていきたい」と語っていた。

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