eコラム「北斗七星」

  • 2015.01.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年1月13日(火)付




焦土と化した70年前の日本に、新たなビジョンで社会や文化を立て直そうと立ち上がった政治家や思想家、知識人がいた。民俗学者の柳田国男氏も、その一人である◆国語こそ文化や思想の根本を担うと考えた氏は、日本を再建する柱として国語教育の重要性を説いたが、理解されずに終わる。「新 売りことば買いことば」(芳賀綏 人間の科学社)で知った◆経済大国をめざし、一時は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と羨望の的になるほどの豊かさを手にした日本。しかし、世界に類例のない少子高齢化、押し寄せるグローバル化の波、人口減少社会の到来、新興国の台頭による国際秩序の変容などに直面する今、築き上げた仕組みが揺らぎ始めている。国際社会の一員として果たすべき役割も高まるばかりだ◆国民の約8割が戦後生まれという時代を迎えた。戦後の何を継承し、何を改めるべきか。そして、何をめざすのか。国の行方を示す明確なビジョンが求められてくる。そのため、今年は日本各地で70年の歩みを検証し、針路を探るさまざまなイベントが開かれるだろう◆先述の著書は「コトバは正しく使えば人間の重心を低くし、判断力を高める」と教えてくれている。学生時代は国語教育から逃げ回った北斗子だが、重心の位置を常に確認する1年でありたい。(明)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ