eNSC1年 存在感示した安保政策の司令塔

  • 2015.01.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月12日(月)付




「縦割りの弊害は完全になくなった。外交・安全保障についてNSC(国家安全保障会議)を中心にしっかりと機動的にできる体制が整ってきた」


NSCの事務局である国家安全保障局(安保局)が昨年1月に発足し、安全保障政策の司令塔であるNSCが本格始動してから1年がたったことを受け、菅義偉・内閣官房長官は定例会見で、NSCによる安全保障情報の収集・分析・評価が着実に進んでいるとの認識を示した。


軍事分野に限らず、原発などの重大事故や大規模災害、さらにはテロ、サイバー攻撃など、安全保障政策の対象となる分野は複雑・深刻化の度を深めている。その中で、国と国民の安全を守るNSCの役割は今後さらに重要になることは明らかである。


菅官房長官は1年の経験を踏まえ、これから体制の見直しを検討する考えを示した。有能な職員の増員など必要な整備を進め、司令塔としての存在感をさらに高めることが期待される。


始動1年で"縦割りの弊害"を乗り越えられたことは大きな前進である。官僚機構が陥りやすい省庁ごとの縦割り行政のために、国の存立に関わる安全保障情報が即座に首相の下に集まらないようでは話にならない。


東日本大震災の発災時、東京電力福島第1原発の事故情報が官邸に正しく伝わらなかった。その結果、避難住民を大混乱させた民主党政権の失政は記憶に新しい。自公政権は2013年12月に創設されたNSCによって、"縦割りの弊害"を克服することを重要な目的の一つに掲げ取り組んでいる。


NSCの前身だった安全保障会議は、法案などを閣議決定する直前に開催されるのが通例で、政策立案の場ではなかった。しかし、NSCは実質的な審議の場として機能している。昨年1年間で、首相、官房長官、外相、防衛相で構成される「4大臣会合」が25回、総務相、財務相など5大臣を加えた「9大臣会合」は8回開催された。一方、安保局も昨年の安保法制の閣議決定では調整役を果たすなど安保論議を支えている。


NSCは司令塔にふさわしい役割を積み重ねてほしい。

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