e遊休公共施設 自治体は企業利用促す対策を

  • 2015.01.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月6日(火)付



人口減少に伴って今後、学校や公民館など公共施設の統廃合が加速すると見込まれている。既存の公共施設がなくなれば、利用者にとって不便になるのは間違いない。行政サービスの低下を避けるため、統廃合によってだぶつく施設の転用を検討する必要がある。


例えば、神奈川県秦野市では、公共施設の移転に伴い余裕空間ができた市庁舎駐車場を生かし、コンビニエンスストアを誘致した。賃貸料収入を得るとともに、店舗内で図書館の貸出本の返却受付や住民票の受け渡しなどの行政サービスを実施している。


一方、中には新しく公共施設として生まれ変わることなく取り残される場合もある。こうした空き施設を放置すれば、貴重な行政財産を活用できないばかりか、維持管理費や解体費用が財政を圧迫する。活用策に知恵を絞らなければならない。


その場合、地域住民の意向を考慮した上で、企業誘致の可能性を探るのも一つの方法だ。


秋田県大館市では「空き公共施設等利活用促進条例」を施行し、廃校舎などを活用する事業者や団体に誘致企業並みの手厚い支援を行っている。常用従業員を新たに雇うなどの基準を満たす企業は格安な価格で施設を取得でき、施設を借りる場合も低額で利用できる。改修費の助成も受けられ、固定資産税は最長3年間免除される。


条例施行から2年間で市内3施設の利用が始まり、雇用の創出や地域活性化につながっている。


ただし、誘致した空き公共施設の敷地内に行政窓口を併設したり、行政業務の一部を担うことを条件に施設利用を認めたりするなど、自治体は従来行ってきた行政サービスをできるだけ実施できるよう工夫できないだろうか。


公共施設の利活用の在り方は、自治体共通の悩みだ。国は遊休化した公共施設を有効活用している事例を集め、全国に周知してもらいたい。また利活用を進めるには、行政の施設に関する情報を企業や民間団体に発信することも重要である。


行政サービスを維持しつつ遊休施設の民間利用が進むよう取り組んでもらいたい。

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