e許せぬ蛮行、掃討へ国際結束を

  • 2014.12.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月20日(土)付



何と卑劣なことか。その残虐さに背筋が凍り、悲しみと怒りがこみ上げてくる。


パキスタン北西部のペシャワルで、陸軍運営の学校が同国のイスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」に襲撃され、生徒ら140人以上が死亡した。


無差別に子どもたちの命を奪うという、非道極まりない蛮行を断じて許すわけにはいかない。国際社会は結束し、テロ掃討へ決然と立ち向かってほしい。


TTPは、イスラム法の極端な解釈の適用を求めて自爆テロなど過激な反政府活動を繰り返している組織である。男女平等を否定し、女子の教育や就労も認めない。ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんを2年前、銃撃したのもこのグループだ。


そのマララさんが、事件を受けて非難声明を発表している。「愚かで冷血な行為に胸が張り裂けるような気持ちだが、私たちが屈することは決してない」。暗澹たる気分に陥っているところへ、大きな勇気と希望をもらった感がする。全面的に支持したい。


パキスタンのシャリフ政権は6月以降、TTPの掃討作戦に乗り出し、軍事行動を強化してきた。TTPは、学校襲撃はその報復だとして、「掃討作戦を停止しない限り、襲撃は続く」との声明を出している。報復の連鎖が泥沼化しつつあると見るほかない。


暴力の応酬合戦を阻止するには何が必要なのだろうか。軍事的圧力だけでは、短期的な効果があったとしても永続的な和平は決して築かれない。このことを肝に銘じて、対話による和平実現の道を粘り強く追い求める精神の闘争が欠かせない。


鍵を握るのは、やはり教育だろう。パキスタンに限らず、内戦が続くシリアやイラクなどでも、過激派の多くは貧困家庭の出身で、十分な教育を受けられないまま大人になってしまう。暴力を否定し、人権の尊さや寛容の精神を育みゆく"学びの場"の創出と拡大にこそ、国際社会はもっと力を尽くす必要がある。


「1人の子ども、1人の教師、1本のペン、1冊の本が世界を変えられる」。ノーベル平和賞の受賞スピーチで語ったマララさんのこの言葉の重みを噛みしめたい。

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