e緊急経済対策 円安、中小企業支援を加速せよ

  • 2014.12.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月15日(月)付


衆院選が終わった。


選挙戦は、自公政権の経済政策であるアベノミクス継続の是非が最大の争点だったが、11月21日の衆院解散から昨日の投票日までの間にも、経済状況は大きく変化した。


まず円相場が、約7年4カ月ぶりの円安水準となる1ドル=121円台まで進んだ。ただでさえ、年末の資金繰りに悩む中小企業は、原材料の輸入価格高騰によって経営状況が悪化、ダブルパンチを浴びている。家計も食料品や電気代の値上げで頭が痛い。


今年7~9月期の国内総生産(GDP)の改定値は、11月に出た速報値よりも厳しい数字が出た。最大の要因は、設備投資の低迷であり、企業の生産活動の不振ぶりが鮮明になった。個人消費の回復も鈍い。幸い、原油の取引価格が下落しているが、その恩恵が企業や家計にどの程度及ぶかは未知数だ。中小企業や家計の負担を軽減する対策、地方経済への的確な支援策を実施して、景気回復の力強さを取り戻さなければならない。


安倍晋三首相は、11月に緊急経済対策の取りまとめの指示を出し、政府内で作業が進められている。当然、こうした経済状況の変化を織り込まなければ効果的な対策は期待できない。


選挙戦では、公明党が政府に申し入れた中小企業への資金繰り支援や消費増税に伴い実施された「簡素な給付措置」の拡充などを望む切実な声が有権者や地方、各種業界などから寄せられた。新政権は、これらの声を十分に踏まえて対策の策定を加速させ、今年度の補正予算案編成につなげてもらいたい。


税制面からの景気後押しも欠かせない。個人事業主に対する贈与税・相続税の負担軽減などで中小企業の支援を強化する必要がある。


あす16日には、政府と経済界、労働界の代表らによる「政労使会議」が開かれ、賃上げや中小企業対策などで合意文書をまとめる予定だ。「経済の好循環」の実現に向け、実効性のある内容を期待したい。


今年度の税収は見積額を1兆円以上も上回ると伝えられている。決算剰余金を合わせれば、一定規模の財源は確保できそうだ。新政権は、年末年始返上の覚悟で緊急経済対策の策定を急ぐべきである。

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