e中小企業 円安による経営苦境に支援を

  • 2014.12.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月9日(火)付




「経営が非常に圧迫されている。瀕死の状態だ」―。衆院選の遊説中、山口那津男代表が訪問した中小企業の経営者は、こう訴えた。この言葉に代表されるように、急速な円安によって中小企業は苦境に立たされている。

昨日の東京外国為替市場で円相場は、1ドル=121円台まで値下がりした。この為替水準は、大企業を中心とする輸出関連企業の収益を押し上げるだろう。一方で、国内が主な市場となる中小企業にとっては、輸入原材料費やエネルギー価格の上昇で経営が圧迫されていく。

民間調査会社の帝国データバンクによると、11月の「円安関連倒産」は前月比3件増の42件となり、2013年1月の集計開始以降、月次ベースで最多を更新した。ただでさえ、毎年この時期は年末に向けた資金繰りが必要であり、支援に本腰を入れなければならない。

中小企業は、国内企業の99.7%を占め、従業者数などでも大企業を上回る。まさに、日本経済の屋台骨を担う。経済再生のカギを握っていることは間違いない。

自公政権の経済政策によって、景気は回復基調にある。しかし、中小企業経営の先行きが明るくなければ、景気回復の力強さは戻ってこない。

世界的に評価が高い日本のものづくり産業も、その大半を中小企業が担っている。中には、販売が世界シェアの90%以上を占める企業もある。こうした国内中小企業の優位性を守り、育てていくための国家戦略としての取り組みも忘れてはならない。

中小企業対策の充実について公明党は先月、政府に緊急経済対策を申し入れた。具体的には、政府系金融機関が行うセーフティネット貸し付けの利率引き下げによる資金繰り支援や、各種補助金の継続・拡充を要望した。関係省庁は、できる対策から早急に実施してもらいたい。

公明党は衆院選の重点政策でも、資金繰り支援のさらなる拡充をはじめ、医療・介護といった成長分野の生産性向上に向けた支援、後継者への事業承継の後押しなど、具体的な政策を提言している。これらも、政府の緊急経済対策に可能な限り盛り込んでいくべきだ。

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