e党首討論会での山口代表らの発言(要旨)

  • 2014.12.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年12月2日(火)付



1日に行われた日本記者クラブ主催の「党首討論会」で、公明党の山口那津男代表など与野党の党首による討論が行われた。山口代表らの発言要旨を紹介する。


軽減税率の導入により消費者の負担和らげる

山口代表の主張


我々は、与党で経済再生を進めてきた。(企業の収益や労働者の賃金アップを促す)「経済の好循環」が生まれ、景気は回復しつつあるとはいうものの、(まだ)道半ばである。
これから大事なことは、景気回復を国民に実感していただくこと。我々はそれをしっかりと進めていく。そして消費税率を10%に引き上げる際には、軽減税率の導入をめざす。広く消費者の負担感が和らぐことを実感してもらえる軽減税率の導入が必要であり、(それには)国民の皆さんの後押しが必要だ。公明党をよろしくお願いしたい。軽減税率の実現をめざしているのが公明党だ。


党首間の討論


子育て支援など財源確保を

「人間の安全保障」の強化も重要


山口那津男公明党代表 民主党や自民党、公明党の3党で合意した社会保障と税の一体改革関連法の枠組みの中で、与党として消費税率10%への引き上げを1年半延期する方針を決めた。民主党は(消費税率引き上げの)延期や凍結を主張している。延期をいつやめるのか。その間、社会保障や財政再建の見通しをどうつくるのか。低所得者対策として何を実行するのか。それは現実的に実行できるものか。

海江田万里民主党代表 消費税率を(予定していた)10%に引き上げる環境にないというのが我々の基本的な考えだ。そういう状況下で、我々は人への投資を厚くすることをやる。ムダな公共事業の削減や行政改革などで財源を見つけてやらなければいけない。

安倍晋三首相(自民党総裁) 民主党は最低保障年金を衆院選公約に掲げているが、かつて自民党政権として年金制度の改革を行った。給付と負担のバランスを取るためである。安倍政権では年金積立金の運用益が黒字化している。民主党政権で、ほとんど増えていない。最低保障年金を導入すると(必要な財源を賄うための)消費税率の引き上げが必要だが、いつ引き上げるのか。

海江田 最低保障年金が働き方によって違うことがあってはならない。基礎年金に当たる部分は税金で賄うことが基本的な考え。そこに向けてどういうプランを立てていくのか、財政の問題と合わせて検討している。

山口 消費税率10%引き上げを1年半延期し、実施予定であった社会保障がどうなるか、心配している国民も多い。新しい子ども子育て支援策や介護従事者の処遇改善、認知症対策などは財源を確保し、実施すべきだ。

安倍 引き上げ延期は18カ月であり、財政計画で(社会保障政策を)いつからやるということも決めやすい。例えば、子育て支援は2年間で20万人、5年間で40万人の保育の受け皿をつくるし、保育にかかわる人の待遇改善も行う。認知症対策、難病支援、介護職員の処遇改善も行っていきたい。できることはしっかりやっていきたい。

吉田忠智社民党党首 集団的自衛権行使(の限定容認)の閣議決定の内容が分かりにくい。首相はアフガニスタンやイラクに自衛隊が行き武力行使をすることはないと言うが、法律に書き込まなければ担保にならない。

山口 7月1日の(安全保障法制の整備に関する)閣議決定では、これまでの政府の憲法の考え方の基本を守り、それを外れることはさせないという歯止めをかけた。つまり(憲法)解釈は、これ以上変えないということを確定したわけだ。他国を防衛するための武力の使い方、集団的自衛権を否定している。

我々が(自衛権行使の新しい要件として)認めたのは、あくまで「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」だ。予算委員会で、その解釈の仕方が明確に安倍首相から述べられた。これらを基に安全保障の法制を忠実につくっていきたい。

安倍 (中国の)習近平国家主席との首脳会談に向け、山口代表、公明党にもお手伝いを頂いた。公明党がめざす外交について聞きたい。

山口 「人間の安全保障」を中心とした国際協力を進め、人道的な支援活動を強化することが重要だ。平和の問題についても、専守防衛や非核三原則、他国の脅威となる軍事大国にはならないといった、わが国の外交・安全保障の基本姿勢を守っていくべきだ。

中国や韓国との関係については、これまで連立与党が対話と交流によって継続的な友好関係を築いてきた。当初、政治対話が途絶えていた中国とも、安倍首相の親書を預かった私が中国に赴き、対話を開始した。これからも継続的に(政府の外交を)補完しながら、日本と国際社会との関係を良好に保っていきたい。


質疑応答

国民のニーズつかみ、政権でバランサーの役割果たす


―山口代表は「公明党は(連立与党の)"げたの鼻緒"である」と言われる。ますます公明党が、連立与党の中で大きな責任を持つ力強い勢力になっていくと思う。どんな鼻緒になろうとしているのか。どういう志でやっていくのか。

山口 公明党の持つ特徴・持ち味が自民党のものとよく調和して政治的な良い効果を生んでいると思うし、またそうしていかなければならない。

第一は、公明党が国民のニーズ(要望)を的確につかんで反映していく特徴を持っていることだ。小笠原でのサンゴ密漁漁船への素早い対応策などは、それが発揮された例だ。

それから、意見の異なるテーマについても粘り強く対話を重ねて合意をつくり出す経験と知恵がある。そして、国民の皆さんが望む、いわば民意の重心をにらみながら、バランスの取れた合意をつくるバランサー(均衡をとる人)としての役割もあると思う。今後、国民の期待に応えられる連立の運営に努めていきたい。

―安全保障法制に関する閣議決定では、例えば戦闘中のペルシャ湾に機雷がまかれた時、自衛隊の掃海艇は出動して掃海作業ができるのか。

山口 機雷掃海は、停戦や停戦合意、事実上の停戦などが行われていれば国際協力でやっていいと思う。しかし、戦闘行為として敷設されているところを取り除く状況であれば、慎重に考えなくてはいけない。

閣議決定で決められたことは、新しい(武力行使の)3要件に当てはまるかどうかだ。

安倍首相や内閣法制局長官ともに同じ答弁をしているが、他国に対する武力攻撃が発生した場合、つまり、ペルシャ湾での機雷敷設が、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻重大な被害が及ぶことが明らかかどうかだ。単なる経済的利益が損なわれることだけでは駄目だという考え方だ。

もう一つは、わが国に戦禍が及ぶ蓋然性(可能性)だ。国民が被ることとなる犠牲の深刻性や重大性などから客観的、合理的に判断すると答弁されている。だから、ペルシャ湾で実際に起こる事態が、この基準に合うかどうか判断していくことが重要だと思う。それに基づいた法律を、これからつくっていこうと考えている。

―一時的に石油(輸入)が途絶えることは、(わが国の存立が)「根底から覆される」事態か。

山口 戦禍がわが国に及ぶ蓋然性とか、国民が被る犠牲が深刻重大だとは簡単には言いにくい。

―安倍首相は、今の山口代表の考え方についてどう考えるか。

安倍 これは個別の状況で判断しなければならない。ホルムズ海峡が完全に封鎖される状況になれば、経済的なパニックが起こる危険性は世界的にある。そこで、3要件にどう当てはまるか判断していくことになるが、当てはまる可能性はあるとは思う。

ただ、戦闘行為が行われているところに普通、掃海艇は行かない。掃海艇は木でできているから、戦闘行為が行われているところに行ったら一発でやられてしまう。通常は、完全に停戦している状況で行く。事実上停戦していても実際に停戦されていなければ、国際法上、機雷を掃海することは集団的自衛権の行使に当たる。こういう状況はなかなか起こり得ないが、想定外(の事態)は許されない。

事実上、戦闘行為はほとんど行われていないが、完全な停戦合意が国際条約として結ばれていない状況はあり得る。当然、(自衛隊派遣の)決定においては、3要件に適用しているかどうか国会で判断いただくことになる。

―衆院選での獲得議席目標について。

山口 解散前の議席(31)を確保し、さらに1議席でも増をめざす。

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