eコラム「北斗七星」

  • 2014.11.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年11月14日(金)付



第1次世界大戦が勃発して、今年はちょうど100年。ドイツ軍がフランス軍などに史上初の毒ガス攻撃をし、多数の犠牲者が出たベルギー西部の町・イーぺルでは、失った命を悼む集会が市民らの手で行われている◆この集会は、第2次世界大戦でドイツに占領された5年間を除き、1928年から86年たった今も毎日、午後8時に始まる。二度と悲劇を繰り返すまいと、平和を願う心は脈々と引き継がれ、反戦への祈りは、訪れた旅行客らにも広がる。あらためて「継続は力」と痛感する◆本来、自然の恵みは人々の暮らしを豊かにするものだが、富山県の神通川流域の人々は長年、上流の鉱山から出たカドミウム汚染に苦しめられた。公明党が初めて国会で取り上げ、後に公害として認定される「イタイイタイ病」である◆流域住民に多大な犠牲を強いたこの公害は裁判を経て、発生源の企業が非を認めた上で、住民との間で一つの取り決めを交わす。住民らが鉱山や工場で汚染物質流出をチェックする立入調査が40年間、毎年続けられている◆住民と、企業の改善努力が実を結び、神通川は今、清流が復活。荒れた農地の復元工事は一昨年に完了、安全な大地を取り戻した。一度は絶望的な場面に直面しても、人間には持続力を伴う復元力、回復力がある。ぜひ学びたい。(広)

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