e小笠原の振興さらに

  • 2014.10.30
  • 情勢/社会
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公明新聞:2014年10月30日(木)付



党都議会視察団 航空路開設に全力
世界遺産登録後の課題調査 外来種の駆除急務



東京都議会公明党の小笠原視察団(藤井一団長)は、24日から6日間の日程で、世界自然遺産に登録されている小笠原諸島(東京都小笠原村)を精力的に視察し、東京―同村間の航空路開設問題のほか、登録後の現状と課題、周辺海域で中国漁船によるサンゴの密漁が急増している問題などについて、森下一男村長ら関係者と意見を交わした。

世界自然遺産登録で知名度が上がる一方、長年の課題として浮上しているのが小笠原村への定期航空路の開設問題。島には民間空港がなく、本土からの交通手段は平均6日に1度、片道25時間半の船便に限られており、アクセスの改善が急がれている。

一行は、空港建設候補地の一つ父島の洲崎地区を視察した。都小笠原支庁の村岡洋次郎港湾課長は「都と村の協議会では洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案の3案が検討されている」と話し、中でも洲崎地区にある旧日本軍の滑走路跡地を活用する案が有力視されていると説明。

藤井団長は「(航空路開設は)小笠原諸島返還以来の村民の悲願」と述べ、「住民生活向上のためにも航空路の必要性は極めて高い。2020年の東京五輪・パラリンピック開催を大きな契機として、空港建設の促進に全力を挙げる」と語った。

一方、小笠原の島々はガラパゴス諸島(エクアドル)と同様、かつて一度も大陸と地続きになったことのない海洋島。島の生き物は独自に進化し数多くの固有種が誕生したが、大陸ほど厳しい競争は経験しておらず、いざ外来種が入ると爆発的に増えやすい。

一行は、貴い生態系を乱す外来種対策について、母島で米国産のグリーンアノール(トカゲ)や、島外から持ち込まれて繁殖し、駆除が進められているアカギの植生状況などを視察。さらに、都の制度で上陸が1日最大100人に制限されている南島に渡って、自然保護の取り組みなどを見て回った。

都小笠原支庁の竹内高広世界自然遺産担当課長は、登録後の課題について、父島でニューギニアヤリガタリクウズムシが固有種のカタツムリなどの陸産貝類を食べ激減させていることなどを報告。「国と都、村が連携して島の固有生物を脅かす外来種の侵入防止や、駆除対策の強化が必要」と強調した。

また一行は、中国漁船によるサンゴ密漁が相次ぐ事態を重くみて、母島漁業協同組合長でもある公明党の佐々木幸美村議の案内で、母島の西沖合に向かい、密漁の現状などを船上から視察。佐々木村議は「漁業に深刻な影響が出ており、(漁船乗組員の)上陸への不安の声も高まっている」と対策の必要性を訴えた。

一連の行程を終え藤井団長は、「国と連携を強めて、固有種を保護し生態系を守る取り組みを強化しなければならない」と強調。サンゴ密漁については、「都や国に対して、住民の不安解消に向けた具体的な取り組みを進めたい」と語った。

視察には、藤井団長のほか、伊藤興一、斉藤泰宏、加藤雅之、小林健二の各都議が参加した。

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