e景品表示法改正案 消費者被害を防ぐ大きな一歩

  • 2014.10.30
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年10月30日(木)付



不当表示をした事業者に課徴金を科す景品表示法の改正案が閣議決定され、来月初めにも審議入りが予定されている。今国会で成立すれば、2016年春までには施行される。これまで幾度となく繰り返されてきた消費者被害を食い止める大きな一歩になると期待したい。

長年にわたって検討されつつ導入が見送られてきた課徴金制度が今回の改正案に盛り込まれたのは、昨年秋にホテルや百貨店などで相次いで発覚した偽装表示問題がきっかけだ。事態を重く見た政府は昨年12月、関係省庁会議で違反事例への課徴金などの措置の検討を決定した。

もう一つは、不当表示の再発防止などを事業者に求める措置命令の件数が、2009年度が6件だったのに対し、12年度が40件、13年度は48件と年々増加傾向にあることだ。不当表示の恐れがあると調査した件数は、ここ数年は800件前後で推移している。最近も、水道水を温泉と称したり、食事メニューを偽装する悪質な事例が発覚している。課徴金制度の導入は必然といえよう。

今回の改正案で課徴金の対象となるのは、商品やサービスを実際の品質などより著しくよく見せる優良誤認と、実際より著しい価格差を付ける有利誤認の不当な表示が対象となる。不当表示した商品やサービスの売上額が5000万円以上あった場合に、売上額の3%が科される。

ただし、消費者の被害回復を進めるため、事業者が実施予定返金措置計画を作成し首相の認定を受けた上で、報告期限までに適正に返金が実施された場合は課徴金が減額される。課徴金額以上に返金した場合は免除され、不当表示を自主申告した場合も減額されるという。さらに、表示について「相当な注意」を払っていたと行政が認めた事業者には課徴金が科されない。

課徴金の多寡や減免措置の内容、「相当な注意」の範囲はどこまでか、などは政府の消費者委員会でも意見が相次いだ。国会審議でも、より議論を深めてもらいたい。

不当表示による被害は消費者ばかりか、まじめに事業活動している業者の売り上げにも及びかねない。改正案の一刻も早い成立を求めたい。

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