e15年1月に改定案 介護報酬見直しの課題

  • 2014.10.28
  • 情勢/経済

公明新聞:2014年10月28日(火)付



求められる担い手確保
高い利益率の地域還元は不可欠



2015年度は、3年に1度の介護報酬改定が行われる。介護報酬の設定は、焦点となっている介護の担い手確保やサービスの向上に不可欠のものだ。政府や介護事業者らの議論を追った。



特養に厳しい視線

過度のマイナス改定には懸念の声も

介護報酬は、事業者に支払われる介護サービスの公定価格のことで、3年ごとの見直しが定められている。2015年度が改定の年にあたるため、今月半ばから、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会で見直しに向けた本格的な議論がスタートした。12月に全体の改定率を決めた上で、15年1月に介護報酬改定案がまとめられる。前回12年、前々回09年の改定率は、それぞれプラス1.2%、プラス3.0%だった。

今回の介護報酬見直しにあたり、財務省は介護職員の処遇は改善しながらも、全体として6%以上を引き下げる"マイナス改定"を主張しており、大きな波紋が広がっている。

財務省の主張は、今月3日に公表された介護事業者の経営実態調査の結果に基づき、平均で8%に上る利益率を中小企業並みの2.2%に合わせるべきだというもの。調査で明らかになった主なサービスの利益率は、特別養護老人ホームが8.7%、訪問介護7.4%、通所介護10.6%などとなっている【表参照】。

さらに、厳しい視線が寄せられているのが社会福祉法人が運営する特養ホームの内部留保で、1施設当たりの内部留保は平均で約3億円、全体では2兆円を超えるとされる。

社会福祉法人が行う事業は公的側面が強く、国の補助金や税制上の優遇措置を受けている。そうした立場で得た原資を福祉サービスなどで十分に地域社会に還元できていないのであれば、存在意義が問われることになる。社会福祉法人の多くが、内部留保は将来的に施設の改修に充てるなどと説明しているが、人手不足が指摘される介護職員の処遇改善に回すべきだとの声は強い。

一方で、事業者団体側の危機感も深刻だ。厚労省調査が示す利益率はあくまで平均値であり、大幅なマイナス改定が実現すれば、利益率を低く抑えてサービスの向上を図る事業者ほど、大きな打撃を受けることになる。介護報酬の過度のマイナス改定がサービス水準の低下を招く事態になれば、人材の流出を加速させることにもなりかねない。一律の利益率削減は困難だと主張する向きも多い。



給与水準は依然低く

介護報酬改定にあたり、現場職員の処遇改善も焦点の一つになっている。

厚生労働省の2013年賃金構造基本統計調査によると、ホームヘルパーや福祉施設看護員の平均給与は月21万円台となっている【グラフ参照】。介護職員の賃金は、これまでの報酬改定で2~3万円程度増えたとされるが、全産業の平均額約32.4万円とはまだまだ大きな開きがある。また、13年度介護労働実態調査によると、介護職員の離職率は16.6%と、依然高い水準にあることが明らかになっている。

現在、国内には介護職員が約150万人程度いるが、団塊の世代が75歳を迎える25年には、250万人が必要になるとみられている。一般に、介護が必要になる人の割合は、75歳を境に急増するからだ。例えば、12年版高齢社会白書によると、65歳から74歳で介護が必要な人の割合は4%程度だが、75歳以上になると30%近くにまで跳ね上がる。介護職員の処遇改善と人員確保は喫緊の課題である。
25年度は介護費倍増

介護報酬は、1%引き下げると国民負担は約1000億円減ると試算されている。引き下げを行えば税や保険料、利用者の自己負担は軽くなるが、事業者にとっては収入が減り、経営を圧迫する要因となる。

今年度の介護費用は約10兆円だが、25年度には21兆円まで膨らむとみられ、ムダの削減は避けられない課題だ。

必要なサービスの水準を維持しながら、制度の持続可能性を高める介護報酬の改定が実現できるのか、高い関心が寄せられている。

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