eコラム「北斗七星」

  • 2014.10.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年10月11日(土)付



遠藤周作と北杜夫。同世代の有名作家同士だけに、丁々発止のやりとりがあったと想像しがちだが、二人は親しく交流を重ねていたらしい◆遠藤が、入院していた北を見舞ったときのこと。友情に謝し、そっと高級なマロンを置いて帰った。マロンは砂糖漬けした栗の菓子である。ところが、北からは「栗はもらったが、メロンはもらっておらぬ」との手紙が。マロンをメロンと間違えたのだ◆片や遠藤が静養していたときなど、北が毎日訪ねてきては、ウイスキーを飲み、夕食まで平らげていったという。もし大学生(26)に"遠藤のような人"が以前からいたなら、踏み外すことはなかったかもしれぬ。河合隼雄編『冗談』(作品社)で遠藤と北の関係を知り、そう思った◆大学生は、イスラム過激派組織「イスラム国」に外国人戦闘員として加わろうとしたとして、警視庁の事情聴取を受けている。容疑は私戦予備・陰謀。古書店に貼っていた求人広告「勤務地シリア 詳細店番まで」を見たのがきっかけだった◆それにしても、「なぜ?」との疑念は晴れない。渡航を後押ししたとされる男は大学生に「イスラム国側はあなたを歓迎している」と伝えたというが、孤立し希望を失った果ての決断だったのか。絆の希薄化や「希望格差社会」(山田昌弘・中央大教授)が一因なら、変えねばならない。(田)

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