e民生委員 担い手確保へ手厚い支援必要

  • 2014.09.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年9月2日(火)付



京都府は、民生委員の活動を手助けする「支援員」制度を府内の3市町で今月中にもスタートさせる準備を進めている。

民生委員は厚生労働相から委嘱された非常勤特別職の地方公務員。児童福祉法により児童委員も兼ねる。高齢者の見守り活動や子育て家庭への相談支援など、地域住民と福祉行政の橋渡し役を担う。交通費や通信費として活動費は支給されるが、報酬はない。

増え続ける独り暮らしの高齢者の家庭訪問や児童虐待の早期発見など、民生委員に期待される役割は多様化しており、業務量は増加している。厚生労働省によれば、民生委員1人当たりの訪問活動は年間165回に上り、ほぼ2日に1回の頻度だ。

負担感の重さもあって、民生委員を引き受ける人が少なくなっている。今年4月現在で全国の定数約23万6000人のうち、欠員は5000人を超す。

負担を軽減し、なり手を確保しなければならない。

京都府が導入をめざす支援員制度は、地域のボランティアに支援員になってもらい、民生委員の活動をサポートしてもらうものだ。今年度はモデル事業として実施し、2年後に本格導入する予定だ。

民生委員の活動を補助する類似の「協力員」制度を独自で設けている自治体は東京都や兵庫県などにもある。地域の実情に応じた方法で、民生委員を支える人材を増やしてほしい。

一方、民生委員は地域住民からの相談内容が複雑多岐にわたるので、福祉や健康、労働など行政の各専門職との連携が欠かせない。

例えば、大分市では、部局横断的な「民生委員児童委員庁内サポート会議」を設けた上で、関係各課に民生委員からの問い合わせに応じる担当職員を配置し、休日や夜間も電話連絡がつながる体制にしている。

全庁を挙げた支援の在り方は参考になる。

地域福祉の最前線を担う民生委員の役割について十分に知らない住民もいるため、地域社会の協力を得られず、活動に支障が出ているケースもある。住民に理解を深めてもらう広報活動の強化も進めなければならない。

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