e音楽の力で復興支援

  • 2014.09.02
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2014年9月2日(火)付



被災地に若者が集結
「ロックコープス」が日本初上陸



東日本大震災から間もなく3年半。ボランティアの著しい減少に危機感が募る被災地で、"一筋の光明"となる活動が注目を集めている。若者に被災地に関心を持ってもらい、ボランティア活動に参加するきっかけにしてほしいと、音楽の力を通じて社会貢献活動への参加を促すプロジェクト「RockCorps(ロックコープス)」のユニークな取り組みを追った。

ボランティア参加でライブへ

「復興のために何かしたいと思っていたが、きっかけがなかった。今後も福島のために貢献したい」

8月13日、福島市で夏祭りの灯明点灯イベントを手伝う福島県相馬市出身の佐藤暁丸さん(21)は、こう誇らしげに語る。大好きな音楽を通じた取り組みにも共感。ボランティアの活動に一歩踏み出すいい機会になったとほほ笑む。

ロックコープスの基本理念は「Give, Get Given=与えて、はじめて与えられる」。2005年に米国で始まり、これまで世界9カ国で14万人以上が参加した。今回、アジア初となる日本での開催が決定。計4000人のボランティア創出をめざす。

ここでは、無償の一般的なボランティアとは異なり、労働する"対価"があることが特徴だ。4時間のボランティアに参加すれば、9月6日に福島市で開かれるライブイベント「セレブレーション」のチケットが配布される。コブクロや米国人歌手のNE―YO(ニーヨ)など国内外の著名なアーティストが出演する。

参加資格は20歳以上で、インターネット上でサイト登録し、被災3県を中心にNPO法人などが実施している活動への参加が条件。これまでの登録者は7724人(1日現在)。北海道から沖縄まで幅広く浸透し、すでに参加者は4000人を超す盛況ぶりで、しかもその多くはボランティア初参加の若者だという。

その動機が「大好きな歌手に会いたい」でもよし、「被災地のために」でもよしと、気軽な参加形態が人気を呼んでいる。ボランティアとして、現地に足を運べば、被災者との交流も生まれ、互いが触発される。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで、若者が現状を発信することで、震災の風化を防ぐ一助にもなる。

共催する福島県の矢野善民広報課主査は「福島のスローガン『ふくしまから はじめよう。』にも合うすばらしい取り組み。福島の今を理解し発信してもらえたらありがたい」と話す。

8月30日には、岩手県釜石市の海岸沿いの清掃や、農作業のボランティアに25人が参加。山形市から参加した遠藤光一さん(21)は「3年以上がたち、被災地を忘れてしまうことへの危機感があった。まだまだ支援が必要だと感じた。来られて本当によかった」と充実感をにじませた。

ボランティア活動の中心が、徐々にハードからコミュニケーション支援などのソフトに移る中、継続性が課題となる被災地。若者が目にした現実が友人に共有され、継続的な支援の担い手が二陣三陣と続くことが期待される。

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