e放課後児童クラブ 

  • 2014.08.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年8月16日(土)付



働く保護者のニーズに応えよ



子どもが小学校に入学すると、放課後の預け先が見つからず、母親が仕事を辞めざるを得なくなる―。共働きや一人親家庭が悩む「小1の壁」と呼ばれる問題だ。

この打開策として、厚生労働省と文部科学省は先週、放課後に校内などで子どもを預かる放課後児童クラブの拡充などを盛り込んだ「放課後子ども総合プラン」をまとめ、全国の自治体に通知した。

日本の将来を担う子どもたちの成長と、女性の活躍を後押しする重要な政策だ。必要な予算を確保し、着実に推進していきたい。

「小1の壁」が生じる原因は、放課後児童クラブの不足と使い勝手の悪さにある。同プランでは、現在約90万人の定員数を2019年度末までに30万人程度増やす目標を掲げている。昨年、放課後児童クラブを希望しても利用できなかった児童は全国で8689人いた。まずは待機児童を解消した上で、潜在的な利用ニーズに応えていくため、受け皿の整備を急いでほしい。

開設場所について、政府は空き教室の徹底活用を求めている。妥当な考えだが、学校側は「何かあれば責任を問われないか」と不安を感じている。同プランには「市町村の教育委員会などが責任を持って管理運営に当たる」と明記されている。各学校に周知して設置を進めてもらいたい。指導員を確保するための待遇改善や研修制度の拡充も必要だ。

使い勝手をよくするには、利用時間の延長が欠かせない。18時までに終了する放課後児童クラブは約4割に上る。これでは、保護者は働き方や職場までの距離を制限されてしまう。夏休みなどの長期休暇期間を含め、もう少し柔軟に対応すべきである。

放課後の過ごし方は子どもの成長に大きな影響をもたらす。「質」の充実も忘れてはならない。

同プランでは、学習支援や果物狩りなどの体験、絵画教室といった、さまざまな活動を行う文科省の事業との一体化を推進し、19年度末までに1万カ所以上での実施をめざす。地域の大学生や高齢者、子育て・教育支援に関わるNPO、スポーツ・文化芸術団体などの協力を得て、多彩なプログラムを展開してほしい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ