e子どもの権利を守る 児童ポルノ禁止法改正案

  • 2014.06.11
  • 情勢/経済
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公明新聞:2014年6月11日(水)付



公明が与野党協議を主導/今国会での成立が最重要
党プロジェクトチーム座長 富田茂之衆院議員に聞く



児童ポルノの単純所持を禁止する「児童ポルノ禁止法改正案」が5日、衆院を通過し、参院で審議が始まる。改正案のポイントや公明党の取り組みについて、党児童買春・ポルノ禁止法見直しプロジェクトチーム(PT)の富田茂之座長(衆院議員)に聞いた。

「単純所持」に罰則新設
1年間は適用せず 被害児童の支援強化も
―法改正が必要となった背景は。


富田茂之党PT座長 児童ポルノの規制については、1999年に「児童買春・児童ポルノ禁止法」が成立し、2004年に法改正が行われましたが、児童ポルノの根絶に向け、当時から指摘されていた「単純所持」の禁止は見送られた経緯があります。しかし、インターネットの普及に伴い、児童ポルノに関する検挙件数と被害児童数は年々増加傾向にあり、昨年には共に過去最多となるなど、さらなる規制強化が求められていました【グラフ参照】。

―法改正に向けた国会の議論は。

富田 先進8カ国(G8)で単純所持を処罰対象としていないのは日本とロシアだけです。公明党は党所属の女性国会議員を中心に、視察や関係団体との連携を重ねる中で、単純所持の禁止の必要性を痛感していました。そこで、08年には自民、公明両党で与党PTを設置し、単純所持の禁止を柱とする改正案を国会に提出。09年には、民主党を巻き込んで与野党協議を行う中で、公明党が調整役を担い、合意寸前までいきましたが最終合意ができず、衆院解散により廃案になりました。衆参のねじれが解消した自公政権の今こそ、児童ポルノを根絶すべきであり、子どもの権利を守る法改正は喫緊の課題です。

―改正案のポイントは。

富田 何と言っても単純所持を禁止したことです。「自己の性的好奇心を満たす目的」で児童ポルノを所持した者に対し、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す一方で、既に所持している人や在庫を抱えた出版社に自主的な廃棄を促すため、施行から1年間は罰則を適用しないこととしました。

また、捜査当局による不当捜査や誤認逮捕を防ぐ観点を重視。単純所持は「嫌がらせなどによりメールで送り付けられた場合」などのケースが想定されるため、「自己の意思に基づき所持する」要件を加え、処罰範囲を合理的に限定し、対象を明確化しました。

さらに、社会の風紀を乱し、犯罪行為を正当化するような表現は好ましくないものの、「表現の自由」に配慮し、児童ポルノに類する漫画やアニメなどの取り扱いは規制しないこととしました。このほか、児童買春や、自覚なしに児童ポルノの当事者になってしまった場合に、心身に影響を受けた児童の保護や支援体制の強化を明記しました。

―今国会では公明党が主導し与野党の修正協議が行われました。

富田 公明党は改正案の今国会成立に向けて、より多くの政党の合意形成が重要だとの認識から、所管委員会である衆院法務委員会理事会において遠山清彦理事が与野党協議の場を提案。08年の与党PTの改正案や09年の与野党協議での議論をたたき台に、4回の修正協議を公明党が主導し、自公、民主、維新、結いの5党で修正案をまとめ、委員長提案(議員立法)で衆院を通過しました。

―今後の課題は。

富田 まずは今国会での成立が最重要です。今回の改正案は児童ポルノ根絶に向けた大きな一歩となります。成立後は、施行後の運用をチェックしていくとともに、単純所持の禁止の周知徹底により、1年間の猶予期間での自主的な廃棄を促すことが、児童の未来を守ることにつながります。今後も、児童ポルノの根絶に全力を挙げていきます。

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