e成長戦略 焦点の課題 Q&A <1>

  • 2014.05.19
  • 情勢/解説
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公明新聞:2014年5月19日(月)付



配偶者控除見直し
女性の就労拡大で議論
年収103万円超でも働きやすく。
専業主婦世帯などは負担増に



景気回復への足取りを確かなものにするため、政府は6月に新たな成長戦略や経済財政運営の指針「骨太の方針」を策定する方針です。焦点の課題をまとめました。


Q 配偶者控除の見直しが話題になっていますが、どんな制度ですか。

A 専業主婦やパートで働く妻がいる世帯の所得税、住民税の負担を軽くする制度です。専業主婦世帯を念頭に「家庭は妻が守る」という「内助の功」を尊重する観点から1961年に創設されました。


Q 具体的な仕組みは。

A 妻の年収が103万円以下であれば、夫の所得から所得税で38万円、住民税で33万円が差し引かれます。妻の年収が103万~141万円未満の場合は「配偶者特別控除」として、妻の収入に応じ、控除額が段階的に縮小されます(夫の年間所得が1000万円以下の世帯が対象)【図参照】。


Q なぜ見直すのですか。

A 配偶者控除を受けるため、年収を103万円以下に抑える女性が少なくないからです。加えて、夫が勤める会社からの「配偶者手当」なども妻の年収が103万円を超えた時点から減らされるケースもあります。これらは「103万円の壁」といわれ、女性の就労拡大を阻む足かせと指摘されてきました。

共働き世帯が専業主婦世帯を上回っている中、配偶者控除は「社会の実態からズレている」などとの見方もあります。


Q 政府の対応は。

A 安倍晋三首相は3月、女性の社会進出を促すことを目的に、配偶者控除の見直しなどを検討するよう指示。これを受け、政府税制調査会は、見直しに向けた本格的な議論を始めました。


Q 縮小・廃止されたらどうなりますか。

A 財務省は、配偶者控除の対象者が約1400万人に上り、控除の廃止で6000億円程度の増収になると試算。民間調査機関によれば、控除対象となる妻の年収を103万円以下から65万円以下に縮小した場合、年収500万円の世帯で約7万円の負担増になります。このため、「専業主婦世帯狙い撃ち」などと控除の縮小・廃止には慎重な声が強く、「女性の活躍を促すには保育所の整備が優先」などとの意見も少なくありません。

さらに、配偶者控除が廃止されたとしても、妻の年収が130万円を超えれば、夫の扶養から外れ、妻自身が社会保険料を負担しなければならない「130万円の壁」に直面します。

こうしたことを念頭に、政府税調の中里実会長は、配偶者控除を単独で見直すことに否定的な見解を示しています。

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