e拉致問題 日米韓の結束で前進を

  • 2014.03.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月20日(木)付



「対話と圧力」で北に再調査迫れ



北朝鮮による拉致被害者である横田めぐみさんの両親が、モンゴルで、めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさんと初めて面会した。日朝間では政府の非公式な協議も行われており、拉致問題の進展につなげたい。

2002年9月、当時の小泉首相による訪朝によって、10月には5人が帰国し、04年には、その5人の夫や子どもたちも日本に迎えることができた。

だが、同年、めぐみさんのものとして引き渡された遺骨が別人のものと判明するなど、北朝鮮の安否情報の信憑性は崩れ、08年の政府間協議で合意した再調査も、北朝鮮が直後に打ち切りを通告し、協議は停滞している。

北朝鮮で金正恩体制がスタートしてすでに2年。中国とのパイプ役とされた張成沢・前国防委員会副委員長の処刑などによる中国との関係悪化が伝えられ、米国も厳しい姿勢を崩さない中で、北朝鮮に、韓国や日本との関係改善を求める動きが見られる。

韓国とは開城工業団地の操業が再開され、米韓合同軍事演習にもかかわらず、3年4カ月ぶりに南北離散家族の再会が実現した。

日本に対しては、日朝赤十字会談が約1年半ぶりに行われ、終戦前後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨返還や遺族の墓参について協議するなど、対話姿勢を示している。

一方、北朝鮮の人権状況について、国際世論の批判は高まるばかりだ。

2月には北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が、拉致などを「人道に対する罪」と断じる報告書をまとめた。報告書は、国連安保理に対して、北朝鮮の人権侵害を国際刑事裁判所(ICC)に付託することなどを勧告し、厳しく対処するよう求めている。

17日、北朝鮮の人権侵害をめぐって議論した国連人権理事会では、拉致被害者家族会代表の飯塚繁雄さんがスピーチし、拉致被害者が家族の元に帰れるように国際社会の支援を訴えた。

北朝鮮は、ミサイル発射や核武装への強い執念で周辺諸国を挑発する瀬戸際政策を続けている。その一方で、関係改善の姿勢で関係国の足並みの乱れを誘うなど、したたかな外交を展開してきた。

核・ミサイル開発や拉致問題など、独裁国家である北朝鮮との交渉には、米国を中軸にした日米韓の強い結束が不可欠である。政府は「対話と圧力」を継続し、被害者の安否に関する再調査に向けて、関係各国との連携を強めてもらいたい。

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