e日韓の首脳会談 アジアの安定に不可欠

  • 2014.03.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月13日(木)付



高官協議での開催合意を期待



安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領による首脳会談開催の糸口を模索するため、日韓の政府高官協議が12日から2日間の日程で始まった。

両国の間では先月も、外交当局の局長級協議が行われている。首脳会談の実現で合意できるまで、事務レベルの話し合いを重ねてもらいたい。

日韓首脳会談をめぐっては、3月下旬にオランダで開かれる核安全保障サミットに合わせた開催を望む声が出ている。両首脳が、そろって出席するからだ。実現に向けた交渉時間は限られるが、国際会議の場であれば、相互訪問に比べて実現に向けたハードルは低い。

4月下旬にアジアを歴訪するオバマ米大統領を交えた日米韓の首脳会談の可能性も取り沙汰されている。揺らいでいる3国の協調体制を強化するためにも、あらゆる可能性を探ってほしい。

歴史認識をめぐり、双方の隔たりは大きい。今回の協議でも、従軍慰安婦問題を巡り旧日本軍の関与と強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話の検証が議題になるだろう。談話作成の経緯を検証しても、談話そのものは見直さないとする日本政府の立場を十分に説明して、韓国側の疑念を払拭すべきだ。

両国はこれまでも歴史認識の問題で、ぎくしゃくしてきた。その都度、外交当局や政治家らが双方の国益を考えて粘り強く対話を重ね、歴史認識だけにとらわれない関係を築いてきた。

日韓を取り巻く状況は、大きく変化している。中国の防空識別圏の設定や粛清・暴走ぶりが目につく北朝鮮の核・ミサイルの脅威は、安全保障上の共通の問題だ。両国の関係が冷え込んでいれば、東アジアの平和や繁栄にも影響する。

政権交代して1年以上もたつ隣国の首脳同士が、公式対話に臨めない関係は、とても正常とはいえない。双方の国民世論も、懸念する意見が多数を占めている。両国は、自由や人権、民主主義という価値観を共有し、経済・文化・学術などの分野で交流を深め合う関係である。共存の道を歩む意思を確認し合うことは、決して困難ではない。

わだかまりがあっても、大局観に立って冷静に対応するのが国のトップの役割であり、外交の基本でもある。

来年、日韓は国交正常化50年の大きな節目を迎える。両国の未来に視線を向けた関係を再構築しなければならない。首脳会談の実現につながる打開策を高官協議で見いだしてほしい。

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