e閣議議事録の作成・公表 憲政史上初めての壮挙

  • 2014.03.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月10日(月)付



行政の透明化を進める重要な布石



閣議の議事録作成・公表が日本の憲政史上初めて実現する。

明治18年(1885年)の内閣制度創設から約130年。新年度4月から、閣議と閣僚懇談会の議事録が国民に公表される。

閣議は行政権を担う内閣の最高・最終の意思決定の場である。しかし、閣議運営に関する憲法上の規定はなく、内閣法も第4条2項で「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する」と定めるだけで、具体的な運営方法は時の内閣の自主性に任されてきた。これまで議事録が作成されたことはない。

昨年10月、臨時国会の参院代表質問で公明党の山口那津男代表は、特定秘密保護法の審議に関連し、行政の透明化向上が必要との立場から、閣議と閣僚懇談会の議事録作成を公文書管理法の改正によって義務化し、30年後に公表するよう主張した。今年1月の衆院代表質問でも井上義久幹事長が今通常国会での実現を求めていた。

安倍晋三首相は今月4日の参院予算委員会で、公明党の西田実仁参院議員に対し、閣議と閣僚懇談会の議事録作成・公表を閣議決定によって実施する方針を表明した。公文書管理法の改正で30年後に公表するより、「現在の閣議の在り方を前提とすれば、現行法の下で速やかに公表する方が閣議に関する透明性の向上や情報公開、国民への説明責任という観点でより望ましいとの結論に至った」と説明。「閣議決定であっても、その効力はその後の内閣にも及ぶのが原則」と強調した。

山口代表は「明らかに大きな方向転換で画期的。法改正を待たずに積極的公開が決まったことは重要な布石が打たれたと思う」と述べた。

閣議決定は公文書管理法第4条の趣旨を踏まえて行われる。同条は閣僚を含む行政機関の職員に対し、意思決定過程などを検証できる文書の作成義務を課し、同条2項で閣議もその対象としている。しかし、文書が議事録である必要はないと解釈されてきた。今回の閣議決定で同条が具現化されることになる。

政府によると、自由な議論をするために閣議の録音・速記は行わず、閣議に陪席する内閣法制局長官と3人の官房副長官のメモによって議事録を作成する。

英国の閣議は毎回、1時間半程度の議論が行われ速記者も入る。日本の場合、国会開会中は短時間で終了する閣議の場合もある。議事録作成という壮挙を契機に、閣議と閣僚懇談会の充実も迫られる。

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