eビットコイン 実態解明とルール整備を

  • 2014.03.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年3月6日(木)付



犯罪資金の洗浄や脱税の恐れも



インターネット上の仮想通貨ビットコインの、世界最大の取引所とされる「マウントゴックス」が取引を停止し、その運営会社(東京・渋谷区)が先月末、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

この問題に関連して、菅官房長官は記者会見で「金融庁、警察庁、財務省で情報収集に当たっている」と述べ、政府が実態を把握した上で、必要があれば対応する考えを示した。

金融庁によれば、利用者から預かっていたものと同社保有の合わせて約84万ビットコインが、不正アクセスにより消失した。他の取引所では1ビットコイン当たり500ドル前後で取引されているとみられることから、400億円超が失われたことになる。同社のずさんな資金管理や運営が原因ともいわれているが、早急に全容を解明し、再発防止へ万全を期してもらいたい。

このビットコインは、2009年に「サトシ・ナカモト」という人物が作ったとされる理論で、2140年までに2100万ビットコインが発行される仕組みである。ビットコインを手に入れるには、難解な暗号計算を解いて"採掘"=認証作業を行うことで報酬を得るか、取引所において通貨と引き換える、あるいは商品などの対価として受け取る方法がある。

コインと呼ばれているが、発行主体や実物は存在しない。その実態はデータであり、どの国の通貨にも依存せず需給次第で相場が決まる仮想通貨だ。データが、正規か偽造かを見極めるすべは、「善意の第三者」による認証作業しかない。

電子決済や海外送金などの利便性から世界的に広がり、国内においても利用可能とする店舗が複数確認されている。一方で、発行者も管理者もいないため極めて匿名性が高く、犯罪関連資金のマネーロンダリング(資金洗浄)や、脱税などにも使われる恐れが指摘され、中国やロシアなどは規制に乗り出した。

今のところ財務省は、「法的に通貨とはいえない」とし、「通貨の秩序を脅かすかどうかの可能性も含めて、現状では判断が難しい」との見解を示している。金融庁も「極めて任意性が高いため、金融商品として位置付けられない」と、法律上の位置付けの難しさを指摘する。各省庁とも、当面は情報収集に全力を挙げ、違法性の有無を見極める方針だ。

とはいえ、消費者保護と犯罪抑止の観点から看過できない。政府は、ルール整備に向けた検討を急ぐべきである。

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