e原発汚染水トラブル 作業現場は改善されたか

  • 2014.02.28
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年2月28日(金)付



安全管理の徹底検証を怠るな



東京電力福島第1原発で人為的なミスが原因とみられるトラブルが後を絶たない。

25日には4号機建屋近くの道路の掘削工事で誤って電源ケーブルが切断され、一時、燃料貯蔵プールの冷却が停止する事態に陥った。

先週は、地上タンクから高濃度の汚染水約100トンがあふれ出て土壌を汚染した。本来、閉じているはずの配管の弁が開いており、満水に近い状態のタンクに汚染水が移送されたためだ。

度重なるトラブルは廃炉作業を遅らせ、福島復興の大きな支障となる。特に、汚染水の流出は風評被害を招き、試験操業に取り組む漁業者らにとって痛手だ。

東電と政府は事態を重く受け止めるべきである。徹底して原因を究明し、人為ミスの再発防止策を検討することが求められる。

今回の汚染水漏れでは、東電のずさんな監視体制が再び浮き彫りになった。

漏出したタンクの水位が異常に高いことを示す警報が鳴ったにもかかわらず、東電は機器の故障と判断して軽視したからだ。早くタンク内を確認していれば、漏水は最小限に抑えられた可能性が高い。

東電は昨年8月に起きた大量の汚染水漏れを受け、巡回点検などを強化していたはずだが、生かされなかった。監視作業に気の緩みがなかったのか。

計器に異常な数値が出た場合の対応手順や安全管理体制について、詳しく検証し直す必要がある。

一方、東電福島第1原発では地下水の流入によって汚染水が増え続けている。汚染水をためるタンクは1000基を超え、管理は容易ではない。

政府は昨年9月に原子炉周辺への地下水流入を防ぐ「凍土壁」設置や、汚染水から放射性物質を取り除く装置の高性能化を進める対策を発表した。開発を急がなければならない。

人為的なミスが目立つ一因には、作業員の士気の低下や疲労も指摘されている。

東電福島第1原発では、依然として高い放射線量のため近づけない場所も多い。作業員は過酷な環境の中、全面マスクに防護服の姿で作業している。心身の負担は並大抵ではない。

東電は昨年11月に緊急安全対策を発表し、作業員の増員などに取り組んでいるが、作業環境の改善をさらに進める必要がある。廃炉までの道のりは、長く険しい。作業員の負担を少しでも軽くする対策を検討してもらいたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ