e台風被害のフィリピン調査 「手記」

  • 2014.01.23
  • 情勢/国際
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公明新聞:2014年1月23日(木)付



秋野公造参院議員

病院再建や感染症の予防へ息の長い支援が不可欠



昨年11月にフィリピンを襲った台風30号の被害に対する支援調査で、14日から18日まで河野義博参院議員と共に同国を訪れました。

調査したレイテ島とサマール島は特に甚大な被害を受けており、発災後は各国の緊急援助隊が人と物資の両面で支援していましたが、現在もインフラが復旧してない上、多くの援助隊が撤収し、大変な状況が続いています。

今回の視察では災害時の医療支援の在り方を探るとともに、大型の台風が頻繁に接近する九州・沖縄などの離島をはじめとする地域の防災・減災対策に役立てるために調査を行いました。

中でも医療については、国立、州立、町立の各病院ともに大きな被害を受け、極めて深刻な状況でした。強風で屋根が損壊して雨漏りが続き、医療機器などの設備が壊れ、帝王切開を含む外科治療の提供は一部に限られています。「清潔な環境下で行われた出産は10%程度」との指摘もあり、母子の健康確保は困難です。

ただ、当初懸念された被災地の感染症は抑制されています。会談したエンリケ・オナ保健大臣からは日本の緊急援助隊や自衛隊によるワクチン接種や投薬、防疫活動に対して謝意が示されました。一方で気になったのは、首都のマニラ市を中心とする、はしかの大流行です。被災地外でもワクチン対策が進められていますが、被災地でワクチンや投薬を受けなかった被災者が避難したことで、流行拡大が懸念されています。

町立病院では妊婦健診と結核の投薬管理が行われてきましたが、その機能が失われたままで被災者が結核治療を十分に受けられない状況が続いています。感染者の早期発見・早期治療が蔓延を防止する道である点を踏まえると、早期診断に必要な顕微鏡の供与も重要な支援だと考えます。

オナ保健大臣は、「まず被災時の中心的な役割を果たす国立東ビサヤ病院の再建が求められている」と語っていました。わが国の支援としては、命を守る最後のとりでである国立病院の再建、または、結核など感染症の蔓延防止や帝王切開など手術を必要とする妊婦を判定する機能も併せ持つ町立病院への支援が考えられるでしょう。

被害が甚大だったレイテ島やサマール島の主要産業はヤシの生産です。そのヤシが壊滅的な被害を受けた以上、ヤシの木が育つまでの期間は復旧・復興に関わる仕事を生み出し、被災者の生活を維持する必要があります。

日本政府は今年度補正予算案にフィリピンへの支援を盛り込んでいますが、単年度にとどまらず、息の長い支援が必要です。レイテ島とサマール島には、40年以上前に日本の支援で建設されたサン・ファニーコ橋が架かっています。かつて「水牛しか通らない」と揶揄された堅牢なその橋は、狭い海峡を通過した強烈な高潮にびくともしませんでした。この陸路の存在で物資の補給も患者の搬送も維持され、まさに"命を守る道路"として再評価されています。

日本のNPOによる活動も現地で喜ばれています。被災地の子どもを支援するNPO法人「国境なき子どもたち」などの取り組みは、日本でも高く評価されるべきです。

真に必要な支援を続けることは両国の友好にもつながります。調査結果をもとに通常国会で政策提言を展開してまいります。

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