e防災・減災対策 強靱化法案の早期成立を

  • 2013.11.29
  • 情勢/経済

公明新聞:2013年11月29日(金)付



推進の法的基盤整備に不可欠



防災・減災の推進に必要な「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」が26日の衆院本会議で可決された。審議は参院に移り、今国会での成立の見通しが強まっている。

今月22日には、南海トラフ巨大地震や首都直下地震に対する防災対策の強化を定めた二つの特別措置法も成立している。強靱化法案が成立すれば、防災・減災対策を安定的に進めるための法整備が実現することになる。

強靱化法案は、公明党が提唱してきた「防災・減災ニューディール」の考え方を随所に反映し、自民、公明共同提案の議員立法として国会に提出されたものである。

法案には、国が責任を持って防災・減災を推進するための理念や方針、体制などが定められている。

それだけでなく、課題や弱点を洗い出す「脆弱性評価」や費用縮減、民間資金の積極活用、ソフト面の対策強化なども含まれている。

東日本大震災以降、防災・減災の重要性について国民の認識は深まっている。社会インフラの老朽化への対応についても、昨年末に起きた中央自動車道の笹子トンネルの崩落事故や大阪府堺市の水道管破裂事故などを受け、その必要性が強く認識されるに至っている。

近年、高度成長期に建設された社会インフラが次々と耐用年数を迎え始めている。17年後には、道路橋、河川管理施設、湾岸岸壁の半数以上が耐用年数を超過する。

しかし、その建て替えには多額の予算が必要であり、地方自治体では手に負えないのが実情だ。国が主導して、計画的に修繕、耐震強化を行うことが求められている。

また、政府機能の一極集中や高齢化、地方の過疎化など、災害に対する社会構造の脆弱性も増している。3大都市圏などの人口密集地域を大災害が襲った場合、その被害の大きさは計り知れない。

例えば、首都直下地震の被害想定の見直しを進める中央防災会議の専門委員の試算では、被害総額が300兆円にも上るという。国の一般会計3年分を超える金額である。

事前防災を進めなければ、国家機能の存続すら危うくなることを忘れてはならない。

しかし、推進のための制度基盤は不十分であり、強靱化法案の成立が欠かせない。

災害大国の日本にあって、防災・減災の推進は、国民の生命と財産を守るために不可欠な取り組みだ。今国会で必ず成立させてほしい。

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