e財界訪中団 日中関係改善の第一歩に

  • 2013.11.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年11月21日(木)付



経済連携や民間交流さらに深めよ



日本の財界首脳らで構成する日中経済協会の訪中団は19日、北京で中国の汪洋副首相と初めて会談し、経済関係の強化で一致した。同協会と中国副首相との会談は約2年ぶり。

汪氏は、金融自由化や規制緩和など中国が進める経済構造改革の中心人物とされる。今夏の米中戦略・経済対話では中国代表を務めた。

会談で汪氏は、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉に関し、「経済連携は重要で、交渉はスムーズに進んでいる」との認識を示した。これに対して、同協会の張富士夫会長は、中国経済の構造改革に向けた提言書を手渡し、国家間で摩擦が生じることがあっても、各分野で交流を積み重ねていく重要性を訴えた。

日中経済協会は当初、習近平国家主席や李克強首相らとの会談を中国側に求めていた。要請は実現しなかったが、張氏が述べたように、今回の会談を両国の経済交流深化に向けた第一歩にしてほしい。

日本が沖縄県の尖閣諸島を国有化して以降、政府間の対話は途絶え、影響は経済界にも及んでいる。日中経済協会の昨年秋の訪中計画は、中国政府関係者との会談の見通しが立たないまま、今年3月まで延期された。経団連と日本商工会議所が予定していた5月の訪問は、まだ実現していない。

だが、少しずつ変化の兆しは見える。9月には中国の大手国有企業10社の首脳が日本を訪れ、菅官房長官らと会談した。中国を代表する企業の関係者がそろって来日することは、例がない。

現在の日中関係を考えると、双方の経済界トップが、相手国の政界要人と対話の機会を持つことは意義がある。

経済レベル以外でも、交流を深める動きが出てきた。日本と中国の有識者らで話し合うシンポジウムが先月、北京で開かれた。参加者は率直に意見を交換し、それぞれの主張が対立する中で、両国政府に対して関係修復を求める提言をまとめた。

経済分野の緊密化や民間交流の活発化は、両国の関係改善にプラスに働くことは間違いない。

経済のグローバル化が加速度的に進む今、隣国同士の相互依存はますます強まる。世界で2位、3位の経済規模を誇る日中の関係が、冷え込んだままでは双方だけでなく、アジア諸国にとってもデメリットが多い。

今後も、幅広い分野で交流を深め、首脳会談を含めたハイレベルな対話再開の動きにつなげてもらいたい。

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