e保育所の利用要件 パートや求職中も可能に

  • 2013.10.08
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2013年10月8日(火)付



待機児童の解消へさらに支援を



2015年度から新たに始まる子育て支援制度で、認可保育所の利用要件が緩和され、パートタイムで働く人や求職活動中の人も利用できるようになる。3日に開かれた政府の「子ども・子育て会議」で方針が決まった。

育児中の女性が働きやすい環境を整えるため、現在、利用が認められていない人にも対象を拡大する。社会全体で子育てを支援する対策の一歩前進と評価したい。

現在の利用要件は、「昼間に常時労働している」「妊娠や出産」「保護者の疾病、障害」「同居親族の介護」「災害復旧」の原則5項目に限定している。それ以外のケースは市区町村が判断しており、対応のばらつきが大きい。

これに対し、子ども・子育て会議で決まった新制度は、要件を大幅に緩和し、パートのほか、夜間の就労や在宅勤務、求職活動、大学や職業訓練校への就学、育児休業中の人も利用が可能になる。

認可保育所が使いやすくなることで、保育所への入所希望が増えるのは確実だ。

そこで、政府は利用要件の緩和に先立ち、消費税率を8%に引き上げる14年度に、待機児童の解消に3000億円を充て、認可保育所や小規模保育(ミニ保育所)の整備を進め、保育の受け皿を約20万人分確保する方針だ。

具体的には、認可保育所の定員を現状の約229万人から12万人分増やすほか、ビルの空きスペースなどを利用して少額の投資で開設できるミニ保育所の拡大など、保育施設の大幅な供給をめざす。

厚生労働省はここ数年、認可保育所への入所を待つ待機児童は2万5000人前後で推移しているとみている。しかし、「潜在待機児童」はこの推計を大幅に上回る80万人以上と推定され、保育サービスの潜在ニーズは300万人超との民間推計もある。

要件の緩和で利用できる対象者が増える一方、実際に保育所に入所できるかどうかは施設整備が順調に進むかどうか、今後の政府の取り組みに掛かっている。

保育所の整備・拡大は急務である。施設が増えれば、当然、保育士不足が大きな課題となる。資格を持っていながら就労していない潜在保育士は約60万人いるといわれている。保育士の離職防止をはじめ、待遇の改善など、人材の確保につなげる即効性ある対策が必要だ。

政府は17年度末までに待機児童をなくす方針を掲げている。待機児童解消に向け、切れ目のない強力な支援を進めなければならない。

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