e政府のエネルギー計画 原発依存度は確実に低下

  • 2013.09.19
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2013年9月19日(木)付



洋上風力発電など再生エネ普及を



政府のエネルギー基本計画の策定作業が進んでいる。国の中長期的なエネルギー政策の指針となるもので、年内に取りまとめる予定だ。

国内で唯一運転していた関西電力の大飯原発4号機が定期検査に入り、今週から稼働原発は皆無になった。原子力規制委員会は、今年7月に施行された原発の新規制基準に基づき、6原発12基を安全審査中だが、審査の行方は分からない。同委員会の承認を得られても、再稼働には地元の同意が必要になる。

東京電力福島第1原発の事故後、新増設のハードルが高くなったため、原発は確実に減り続けていく。安倍首相も、アルゼンチンでの会見で電力の原子力依存度を引き下げ、再生可能エネルギーの普及を急ぐ意向を示した。公明党がマニフェストに掲げ、推進している政策にほかならない。

火山帯に位置する海洋国・日本は自然環境に恵まれているため、風力、小水力、地熱、太陽光など再生可能エネルギー導入の選択肢は豊富である。環境省の調査によると、その潜在力は日本全体で東日本大震災以前の電力量の約5倍に及ぶ。

このうち、風力発電が全体の9割程度を占め、大きな可能性を秘めている。特に、洋上での風力発電は風を遮る障害物がなく、騒音や景観などのトラブルが少ない。排他的経済水域からみた海の面積が、世界6位を誇る日本の海洋環境も生かせる。

浅瀬の海の多い欧州では、海底に固定する「着床式」が主流だ。一方、遠浅の海域が少ない日本では、海に浮かべる「浮体式」の注目度が上昇している。

経済産業省は現在、福島沖で国内初の浮体式風力発電の実証研究を進めている。2015年までに、世界最大級の16メガワット、8000世帯分を発電する計画である。これをモデルに、各地で同様なシステムを展開していく。

軌道に乗れば、浮体式の分野で日本の技術力が国際的に優位に立てる。ビジネスチャンスも生まれる。

再生可能エネルギーは、無尽蔵で温室効果ガスが少ないなど利点が多い。日本で生産できるため、政治・経済・紛争などの国際情勢によって供給や価格が振り回される恐れはない。さらに風力関連産業は、部品製造、組み立て、点検・補修などで多くの雇用機会を生む。

政府は、基本計画の策定に当たって、再生可能エネルギーの活用拡大や普及策などの展望を明示してもらいたい。

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