e選挙運動の制限緩和を

  • 2013.07.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2013年7月22日(月)付

欧米は討論会、戸別訪問で支持拡大
公職選挙法

 

 

参院選は自民、公明の連立与党の圧勝で幕を閉じた。国民の期待をしっかり受け止め日本再建を進めていきたい。

今回からインターネットによる選挙運動が解禁され、大きな話題を呼んだ。

解禁された理由の一つは、政党・候補者と有権者が双方向で政策や公約などを論議する機会が増えれば、若い世代を中心に政治への関心が高まるのではないかと期待されたからである。

実際、政党・候補者の多くが政策の発信や投票依頼に活用していた。選挙運動は街頭演説など昼間が中心になりがちだが、ネットを使える有権者は夜間でも情報の収集に困らなかった。働く世代にとっては、選挙情報に触れやすくなったに違いない。

政党・候補者を選ぶ判断材料を可能な限り提供し、有権者の政治参加の機会や選挙への関心を高める流れを今後も強めていきたい。そのためには、選挙運動の在り方を見直す必要がある。

多くの欧米諸国では、選挙運動の中心が討論会や戸別訪問だ。討論会で政策を訴え、有権者の判断を仰ぐ。英米の両国では、各家庭を回って支持を依頼するスタイルが主流で、ドイツは政党が政策ビラを自由に配布し、戸別訪問して政党の方針を伝えていく。

長い歴史のなかで民主政治が培われてきた国々の取り組みを参考にしたい。

日本の公職選挙法は、ポスターの規格やビラの記載内容などを細かく制限、戸別訪問は禁止している。「べからず集」といわれるゆえんだ。不平等や不正を防ぐ目的は理解できるが、戦後まもない1950年の制定以来、大きな見直しはなく、時代にそぐわない規定も少なくない。

選挙運動が過度に規制されると、有権者の求める情報が十分に届かなくなる恐れがある。結果的に有権者の政治参加が阻害されないだろうか。場合によっては投票の棄権につながりかねない。もう少し自由に運動ができる仕組みを考えるべきである。

特に、戸別訪問の禁止は候補者やその支持者が政策を訴え、有権者の意見をくみ取って政治に反映させる貴重な機会を奪っていないだろうか。検討が必要だ。

議会制民主主義は、有権者一人一人が熟慮した1票を投じる行為で成り立つ。投票率が低ければ、民意は正しく反映されず、多様な価値観によって構成される健全な社会は望めない。

ネット解禁をきっかけにして、選挙運動の制限緩和の議論が深まることを期待する。

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